December 03, 2007

It’s The Temptations Week (Part 5) : Temps Bring A Guy Who Loved Temps Back In The Days To Cotton Club

【テンプス好きの人が初めてコットン・クラブにやってきた理由】

一期一会。

(以下の話はノンフィクションです)

日曜日(2007年11月25日)、僕はテンプテーションズ・レヴューのステージ右横の席に座っていた。ちょうどステージを真横から見るカウンター席だ。大きなキーボード奏者コートランドの真後ろだ。タオル手渡し役の真後ろでもある。正面からではないので、全体像は見られないが、たとえばデニスがステージで後ろを向いたとき、よく見える席ではあった。アリ・オリが「カワバタ、カワバタ」と叫ぶと、しっかり一般席の川畑さんの顔が正面に見える位置だ。 

興奮の熱狂的ライヴが終わって左横に座っている紳士の方に「マスコミの方ですか」と声をかけられた。僕がライヴを見ながらメモを取っていたのでそう声をかけてきたらしい。「いえ、マスコミではありませんが・・・。ソウル好きというか・・・。ソウル・ファンで・・・」 「あの~、アンコールは1曲だけでしたか」 「はい、1曲だけでしたよ。なんでまた?」 「いや、このお店に来るの初めてで、ライヴが始まる前にトイレに行っておかなければならなかった、というのがわからなくって。(苦笑) アンコール前にトイレに立ってしまって、ちょっと心残りだったもので」

確かビールとつまみをテーブルにおいていた彼はアンコール曲をどれか聞き逃してしまったのではないかと心配していたのだ。その心配は無用だった。ちゃんと間に合っていた。

僕は尋ねた。「テンプテーションズはお好きなんですね」 「はい、もう20年か30年以上前にどこかで見ました。渋谷だったかな。場所は覚えてないんですが。昔は本当によく自分が好きなライヴには行っていたんですが、結婚して以来、最近はまったく来なくなってしまいました。昔はテンプス、サム&デイヴ、シュープリームスなんかも行きました。今は情報も(僕には)あまり入らないですしね」 「では、これはどこで?」 「ラジオで聞きました。テンプスが来るというので、お店に電話して」 「どのラジオ番組ですか」 「『ソウル・ブレンズ』です。毎週日曜聴いてるんです。家で聴いたり、外出するときには車で聴いたり。インターFMは、出来た頃、10年以上前でしょうか、からずっと聴いています。確か、今日テンプスのメンバーがゲストで出るってことだったんですが、その時間に用事で聞けないので家の者に留守録を頼んであったんですけど、どうやら失敗したみたいで、ものすごく残念なんですよ」

僕は名刺を渡した。相手はそれを見て、大いに驚いた。「ああ、なるほど、だからですか。横で熱心にメモを取られていたので、マスコミの方かと思いましたが、そういうことだったんですね」 

話を聴けば、この方は昭和24年生まれ、まさに団塊の世代。今はお父様の会社を継いで一生懸命仕事に精を出しているという。学生時代から洋楽を中心に聞いていて、「別に踊ったりはしないんですが、中でもソウル・ミュージックが好きだったんですよ」という。学生時代からしばらくの間は、好きなアーティストのライヴがあれば片っ端から行っていたという。さすがに最近は、仕事に専念していて、めったにライヴには来られないという。今でもレコードを、数は多くないが持っていてたまに聴くという。ただし時間がないのでほとんどCDなどは買いには行かないそうだ。それでも、『ソウル・ブレンズ』でテンプテーションズがやってくると聴いて、「たまには、久しぶりにライヴにでも行ってみようか」と思って足を運んだ。

「マイ・ガール」が大ヒットした1965年(昭和40年)は今から42年前だ。仮に当時16歳で聴いた人は、今では58歳になっている。当時20歳なら今62歳。そういえば、マコーレ・カルキン主演の映画『マイ・ガール』(1991年)もあった。これでテンプスを知った若いファンも多いという。それさえも、16年も前のことだ。

たった一曲のヒットが(テンプスの場合、もちろんたくさんのヒットがあるが)、10年、いや、20年、30年の歳月を経て、当時を懐かしむためにそのアーティストのライヴに人々を呼び寄せる。まさに長く一線でいるアーティストならではの出来事だ。ただしテンプスは決して「オールディーズのグループ」ではない。現役のグループだ。

僕とその彼もテンプスがつないでくれた一期一会。たぶん、もう十数年ライヴ、コンサートに足を運んでない人でも、なにかちょっとしたきっかけがあれば、昔よく聴いたアーティストなら聴いてみたいと思っている人は潜在的にいるにちがいないと確信した。なんとなく、この夜、僕よりも上の世代にもっともっと、こうしてコットン・クラブなどのライヴハウスに足を運んで欲しいなと思った。

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投稿者 吉岡正晴 : December 3, 2007 05:01 AM
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