February 11, 2008

“American Gangster” The Movie With Full Of Soul

(ほんの少しだけネタばれがあります。ほとんど鑑賞に影響はありませんが、これから映画をごらんになる方はご注意ください)

【映画『アメリカン・ギャングスター』~ソウルあふれる作品】 

平和。 

『ソウル・ブレンズ』のスタッフNさんに、クラブのシーンでアンソニー・ハミルトンが歌うシーンがなかなかよかったですよ、と言われたので映画『アメリカン・ギャングスター』を見に行った。 

舞台は1970年頃のニューヨーク。他にも、ステイプル・シンガーズの「アイル・テイク・ユー・ゼア」、サム&デイヴの「ホールド・オン・アイム・カミング」、ボビー・ウーマックの「アクロース・110ス・ストリート」などR&B、ソウルの名曲が挟み込まれ、ソウル・サーチャーはひじょうに楽しめた。 

監督はリドリー・スコット、主演はデンゼル・ワシントンとラッセル・クロウ。独自のアイデアでドラッグの仕入れとハーレムでの販売ルートを確立し財を成すフランク・ルーカス(デンゼル・ワシントン)、そして、ほとんどの警官が賄賂を取る中、馬鹿正直に賄賂などを一切取らずにやってきた刑事リッチー・ロバーツ(ラッセル・クロウ)。実在の人物の物語を映画化した。当初はまったく接点がなかったこの2人の男の人生が徐々にクロスし始める。 

フランクは、ドラッグ王として巨万の富を手にするが、普段の生活は目立たないようにしている。彼の唯一のミスが、ジョー・フレイザーとモハメド・アリのボクシングの試合(1971年3月8日)に妻からプレゼントされた高価なコートを着て、さらにマフィアのボスよりもいい席で観戦したことだった。そこから、「一体、あの派手な男は誰だ」ということになる。失敗という名の水を一滴ももらさぬ彼の人生から水滴が零れた瞬間だった。 

フランクとリッチーそれぞれにからむバッド・ボーイズたちがみなキャラクターが立っていて味わい深い。フランクは扱っている商品こそ「悪」だが、それ以外の生き方はひじょうにまっとうだ。リッチーの人生はとてもまともとは言えないが、唯一の心のよりどころが「正義」。その裏対照ぶりが強烈におもしろい。映画は2時間37分。最初の1時間が若干スローに感じたが、後半は一気の展開を見せる。スコット監督は、奇をてらうこともなく、粛々と時系列にそって物語を展開し、ひじょうにわかりやすい。映画の基本、すなわち、よきキャラクター、よきストーリー、そして、よき演技者がいれば、それを順番にあてはめていけば、よい映画ができあがるという典型的な作品だ。 

フランクが持つハーレムのクラブの名前は「スモールズ」という。1970年代ハーレムに「スモールズ・パラダイス」という有名な店があった。無名時代のコモドアーズなども出演していた店だ。画面では「スモールズ」としか見えなかったので、「スモールズ・パラダイス」かと思ったら、彼が「スモールズ」と名付けた店だとセリフで言っていた。 

バンドがこの「スモールズ」で歌っている。そのリード・シンガーがアンソニー・ハミルトンだ。舞台が1970年代なので、その頃のサウンドを彷彿とさせる「ストーン・コールド」というフランクを描いたような曲を歌う。またテーマ曲として「ドゥ・ユー・フィール・ミー」も歌う。 

フランクとイタリア系マフィアのドンとが話し合う場面がある。そこで急速に力を伸ばし、自分たちの縄張りが荒らされてきて不満を持つドンが言う。「俺たちにその薬を卸せ、俺たちと手を組めば、心の安らぎ・平和(ピース・オブ・マインド)が得られるぞ」。 果たして、フランクはそのピース・オブ・マインドを得られるのか。フランクのその後がどうなったか、気になる。 

エンディング・クレジットの歌にソウル・サーチャーズのYuri Kaminoの名前を発見。お、そういえば、『アメリカン・ギャングスター』の歌を歌った、と言っていた。劇中では気づかなかった。映画が終わって電話してみると、もう一年以上前にニューヨークのハンク・ショックリー(今回の音楽担当のひとり)のスタジオで録音したという。録音したときは使われるかどうかわからなかったが、結局使われることになったと連絡があったそうだ。ただ、彼女自身が今ひじょうに多忙でまだこの映画を見られていないとのこと。DVDリリースの際にはじっくり見てみよう。 

そうそう、フランクが売り出す高品質低価格のドラッグにはブランド名がついている。その名は「ブルー・マジック」! フランクは、その高品質のヘロインを薄めて売っていた売人に、ブランド名を傷つけるようなことはするなと警告する。その売人を演じているのはキューバ・グッディング・ジュニアだ。その父キューバ・グッディング・サーは、ブルー・マジックと同時代の人気ソウル・ヴォーカル・グループ、メイン・イングレディエントのメンバーである。あちこちにソウルがあふれている映画だ。(笑) 

■映画オフィシャル・ウェッブ
 http://americangangster.jp/

■ サウンドトラック 

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■ 『アメリカン・ギャングスター』(ジェイZ) 
映画を見てインスパイアーされたジェイZが急遽作り上げたアルバム。 

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投稿者 吉岡正晴 : February 11, 2008 02:59 AM
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