September 01, 2008Sly Stone @ Tokyo Jazz (Part 1) : 36 Minutes Long On The Stage(内容に完全にふれます。これからごらんになるかたは、ご自身の判断でお読みください) 【スライ・ストーン、36分間ステージに立つ】 36分間。 ロベン・フォード、サム・ムーアが終わり休憩をはさみスライのステージ準備が始まる。ライヴ前から機材のセッティングなどで大勢の人たちがステージ上で動いている。ギタリストのトニー・イエーツが、「サンキュー」のリフをちらっとサウンドをチェックするために弾いてみる。まだ客席明るく、観客も休憩から戻ってきていないが、そのリフだけで、一瞬「お~~っ」となった。 久々に気合をいれてライヴに臨んだ。事前に「ソウル・サーチン・ブログ」で書かれている昨年夏のライヴのセットリスト、メンバー表、今回の来日メンバー表、予習のおさらいは完璧だ。果たして、スライは何分、ステージにいるか。アンケートもやった。アンケートでは15分以下が13票、16分~30分が13票で同率。僕も、16分~30分に1票いれていた。まあ、こんなものだろう、と。 客席暗転し、15時32分メンバーが所定の位置につく。ドラムス、ギター、ベース、キーボード2、3人のホーンセクション、計9人がステージ。もちろんまだスライはいない。ステージ中央にキーボードとマイクスタンド2本がその主を静かに待っている。 いきなり、アップテンポの「ダンス・トゥ・ザ・ミュージック」でステージは始まった。その瞬間、客席は総立ちだ。リードは舞台右手のリサ・ストーンが中心にとる。このリサは、左手のキーボード兼ヴォーカルのローズ・ストーン(スライ&ザ・ファミリー・ストーンのオリジナル・メンバーで、スライの妹)の娘。スライの姪だ。「ブンブンブン~~」 熱狂が熱くなる。ノンストップで「エヴリデイ・ピープル」へなだれ込む。さらに熱くなる。これが終わり、ミュージカル・ディレクターでもあるギタリストがヴォコーダーを操り、ちょっと音を出し始めた。すると舞台左手から、な、な、なんと早くもスライ・ストーンが金ぴかの衣装で登場するではないか。時に15時40分。ライヴが始まってまだ7分しか経っていない。せいぜい4時すぎだと思っていたから、度肝を抜かれた。客席からは大歓声と口笛が響きわたる。 そして、重いファンク「ドント・コール・ミー・ニガー、ホワイティ」を歌い、演奏。本物のスライが歌い、演奏している。おおおっ。スライはヴォコーダーのようなものを口にくわえ歌っている。終始うつむきかげん。リズムをぴったり両足で取る。 バンド演奏は、モニターが悪いせいか、けっこうよれよれだが、まあ、そんなことはどうでもいいだろう。スライ様がステージに上がって動いているだけで許そう。 少しテンポを落とした「ファミリー・アフェア」。ローズが最初のヴァースを歌い、すぐにスライ本人が生声で歌った。くびを傾げつつ、マイクを押さえ、ちょっとだみ声で歌う。スライは終始、斜め下を見ていて、観客席にはあまり目をやらない。シャイなのだろうか。 レコードよりもテンポが遅いからか、このファンクの味わいを『老練なファンク』、あるいは『枯れたファンク』、『老いたファンク』と呼びたい。40年近く前に時代の超先端を行っていた当時の斬新ファンクは、その後40年で世界に浸透し、これがファンクのある種の原型のひとつと認められるようになった。そのオリジネイターが40年の歳月を経て、今、ステージにあがる。ファンクも老齢し、熟成するということを知った。ファンクは若い人だけが、元気よくやれるものではないのだ。演奏がよれよれでも、腐ってもスライ、腐ってもファンクの王者、その意味でファンクのDNAを存分に発揮しているところがすごい。ファンクの底力。 「シング・ア・シンプル・ソング」では、コーラスで「ラ~~ラララ~~ラ」が繰り返し歌われる。最後は観客にこれを歌わせる。フォーラム中がこの「ラ~~ラララ」のコーラスであふれる。そして、「スタンド」へ。「スタンド」の途中では、スライは歌詞を少し忘れたようだ。でも、ま、それも愛嬌か。(笑)これもレコードよりも、ゆったり目でこういうのを聴いていると、「スムース・ジャズ」ならぬ「スムース・ファンク」という言葉を編み出したくなる。 スライはその場でセットリストを気分次第で変えるようだ。「スタンド」からは、「イフ・ユー・ウォント・ミー・トゥ・ステイ」へ。キーボードのソロ、トロンボーン・ソロも聴かせる。スライは、自分が仕事をしないときには、回転チェアを回し、客席に背を向け、ミュージシャン側を向く。ひょっとしたら、何かキューを出しているのかもしれないが、そのくるくる回る様子を見て、またキャッチが浮かんだ。チェアマン・オブ・ザ・ボードではなく「チェアマン・オブ・ザ・ファンクChairman Of The Funk」。 そして、アップテンポの「アイ・ウォント・トゥ・テイク・ユー・ハイヤー」へ。スライも立ち上がり、客席も腕を天井に向かって振り上げる。リサの歌がまた、天井まで突き抜ける。すると、この曲の途中で、スライは舞台から立ち去った。16時16分。ここまで36分もステージにいた。 続いて「サンキュー」。ここで、スライのカンバックも十分ありえたが、残念ながらそれは叶わなかった。ローズとリサが歌う、母娘の歌声だ。ヨーロッパでは、ここでまたスライが戻ってきたのだが。様子を見ると、バンドメンバーも、いつスライがステージに戻ってくるのか、予想できずに、来たら来たときの対応、来なければ、来ないでバンドだけでの演奏、を心得ているように見えた。また、スライが出てきて、曲を変えても、やはりすぐに対応するようだ。一度、途中でドラマーが何かの曲のイントロをやったが、スライがついてこないで、やめてしまったところがあった。 本編が終わり、バンドメンバーがステージを去ると、アンコールを求めて、さすがに大歓声、大拍手が続く。しばらくしてバンドが戻って、もういちど、「アイ・ウォント・トゥ・テイク・ユー・ハイヤー」を、今度は各ソロも交え長尺で。ここで、スライ戻るかと思ったが、結局、戻らず、大団円終了。たぶん、メンバーもスライの登場も視野にいれて演奏していたのだろう。16時43分。71分中、36分。半分以上いた計算だ。 終わった後の感想としては、ここ国際フォーラムは、あまり音がよくない。ハコが多きすぎるせいもあるのか、ミキサーが悪いのか、こうしたファンク系、R&B系のライヴで音がよかったというためしがない。最初のロベン・フォードのときは、そこそこの音だったので、たぶん、トリオくらいまでの音ならなんとかこなせるが、これくらいの大所帯バンドの音響が無理なのだろう。サムのときもヴォーカルの音が、バンド演奏に埋もれ、あまり聴こえなかった。こうした大型バンドのライヴを聴くと、より専門的なミキサーを海外から連れてきてみたくもなる。なので、おそらく、火曜日のブルーノートで行われるライヴのほうが音響、一体感も含め、何百倍もよくなるだろう。 いずれにせよ、スライ・ストーンはひとつの伝説を残していった。ファンクのDNAをここに撒き散らしていった。 (東京ジャズ・ライヴ、サム・ムーア、ロベン・フォードなども含めて、この項、続く) ■メンバー スライ・ストーン(ヴォーカル、キーボード)Sly Stone(vo, key) ■スライ・ストーン関連 August 29, 2008 June 19, 2008 June 18, 2008 June 17, 2008 July 04, 2007 May 07, 2007 May 05, 2007 May 04, 2007 ■セットリスト スライ&ザ・ファミリー・ストーン musicians on the stage 15:32 (2008年8月31日日曜、東京国際フォーラム=スライ&ザ・ファミリー・ストーン・ライヴ) コメント
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