November 18, 2008

Rufus @ Blue Note (Part 5) : Val Young Of Rufus Talks

(昨日の続き)

【ルーファス(パート5)~ヴァル・ヤング語る】

ファンク。

今回のルーファスのバンド編成は実に強力だ。ヴォーカル陣にインコグニートでおなじみのメイサ・リーク、キーボードに白人ながらファンクを演奏するブライアン、そして、コーラスにヴァル・ヤング、パーカッションはタワー・オブ・パワーなどでもおなじみのレニー・カステロ。そしてオリジナル・メンバー、ケヴィン・マーフィーも来ている。

ヴァル・ヤングは、メリー・ジェーン・ガールズの一員として紹介されている。ところがメリー・ジェーンたちのアルバムを見ると、ヴァル・ヤングの名前はない。

ヴァルは1958年6月13日生まれ。ギャップ・バンドのツアーやレコーディングで活躍、ヴァルによれば、ギャップ・バンドでは「イエーニング・フォー・ユア・ラヴ」などたくさんのヒットを歌っている。ギャップ・バンド時代に、来日もしている。ギャップのアルバム4-5枚は、レコーディングに参加しているという。

その後、リック・ジェームスに認められ、リックのツアーなどにつきあうようになった。リックのところに来たのは1981年。『ストリート・ソングス』が出た後のようだ。その後、リックのツアーでバック・コーラスで参加。リックが1983年、女性4人組、メリー・ジェーン・ガールズをデビューさせるが、このオリジナル・メンバーにはいなかった。その後、リックがプロデュースしてソロ・アルバム『セダクション』で1985年、デビュー。これがそこそこ評判になった。

彼女は、ファンク女性シンガーの王道を来ているが、それもあってか、ラッパーたちからの熱いラヴ・コールが多いシンガーだ。中でも2パックとのコラボレーションは多く、「トゥ・リヴ・アンド・ダイ・イン・LA」ではヴァルが大々的にフィーチャーされている。このほかにもトーン・ロック、ウォーレンG、ネイト・ドッグなどでもバック・ヴォーカルを担当している。他に、ロイ・エアーズでも参加している。

彼女がメリー・ジェーン・ガールズに入ったのは意外と遅く2005年になってのことだそうだ。

「最近は、この夏にギャップ・バンドをやったわ。今でも、タイミングがあえば、ギャップのツアーにもでるわ」

「ルーファスは、ファンク・バンドでしょう。だから、もっとファンキーにならないと」とヴァルは言う。「もちろん、今のでもよいけど、昔の70年代のファンク・グループって、もっとファンク・ファンクしていたでしょう。ああいう感じ。泥臭くて、ファッションなんかも、こうちょっとスペーシーで。襟が立ってるような服でね」

ところで、いろいろ調べてみると、ヴァルは、元々ジョージ・クリントンのところから出てきたと書いてある資料があった。一時期彼がてがけたブライズ・オブ・ファンケンシュタインに参加していたというのだが、やはり、レコードにはクレジットはないので、やはりツアーでのコーラスなのかもしれない。この部分は確認しそこねた。次の機会に確かめてみたい。

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リーダー。

今回のルーファスのライヴだが、いろいろとメンバーと話をしてバンド・マスター、音楽ディレクターであるトニー・メイデンの素晴らしさがよくわかった。

今回の厳選メンバーは、基本はトニーが選んでいるのだが、みないい連中なのが特徴的だった。ミュージシャン、シンガーだと、「俺が、俺が」あるいは「私が、私が」タイプの自己主張が強い人が多い。また、ある程度の年齢差がある場合、先輩に対する尊敬の念も必要になってくる。

もちろん、単にライヴの一観客にしてみれば、「どんなにそのミュージシャンの性格が悪くても、演奏が超一流だったらそれでもいい」という見方もある。そもそもそのミュージシャンの性格なんて、90分のパフォーマンスからはなかなかわからないからだ。「どんなに性格がよく、人がよくても、歌が下手だったり、パフォーマンスが二流だったらだめだ」というのも当然ある。

だがやはり、ある程度のレベルを持っているミュージシャンたちだったら、みんなが気持ち良くできて、その中で切磋琢磨し、ある部分勝負し相手より少しでもいいパフォーマンスをしようと努力できる環境を作るのが、バンド・リーダー、バンド・マスターの役目だ。それが今回のバンドにはできたいたような気がした。

最終日のライヴが終わったあと、メンバー有志がトニーのホテルの部屋に集まり、木曜日に収録した録画映像のラフカットを見ていた。そこでは、みんながあーだ、こーだ「このカットはビューティフル、パフォーマンス素晴らしい」など和気藹々で楽しんでいた。

トニーが言う。「このバンドは、別にひとりのスーパースターがいるバンドではない。全員でルーファスというバンドを作っていて、その全員で作ったバンドがいいものになっている、というのが理想だ。僕もいろいろなバンドに入って演奏する。あるミュージカル・ディレクターに『このラインを弾いてくれ』と言われたとする。だが、それは他の楽器がすでにいくつも同じラインを弾いているから、ぶつかってだめだから出来ない、と説明する。だが、その人物は怒って『俺が、ミュージカル・ディレクターなんだから、やれ』と叫ぶ。そこには、ミュージシャン同士のリスペクトも何にもない。(一般論として)最近の若いミュージシャンたちは、先輩ミュージシャンに尊敬の念を持つことが少ないと思う。それだと、いいバンド・サウンド、いいユニットにはならない。みんながひとつにならなければいい音楽はできないからね」

「僕も、バンドにとってもっとも大事なことは、ひとつの音楽イメージを全員が同じように共有することだと思う」と向けると、「その通りだ」とトニーは言う。お互いある程度の力量があれば、そこにひとつの共通イメージを描けば、ミュージシャン全員のヴェクトルがそれに向かい、徐々に固まりいいものが出来ていくのだ。何年も同じメンバーで、同じ曲をやっていると、音が強固になっていくのはそのためだ。

バンド・リーダーは、その共通イメージをメンバーに提示し、それを各ミュージシャンにわかりやすく理解させ、技術が未熟であればそれを教え、ひとつのものを作り上げていく環境を作るのが仕事なのだ。たぶん、クインシー・ジョーンズなどは、そういうことが天才的にうまいのだろう。

トニーもその人柄から、メンバー全員からの人望を集めている。そこから生まれるバンドとしてのサウンドは確実にきっちりしたものになっていく。ギタリストとして素晴らしいだけでなく、バンド・リーダーとしても素晴らしいということが今回はよくわかった。

翌日帰国を控えたトニーが「パッキングは大嫌いなんだ」と笑った。

「But you have to pack your bags」というと、「pack'd my bags and put em at the door」と歌って返してきた。

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(2008年11月12日水曜、東京ブルーノート=ルーファス・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Rufus
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投稿者 吉岡正晴 : November 18, 2008 02:57 AM
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