March 05, 2006James Brown: After Technical Difficulties, Godfather Thanked For Engineers【ジェームス・ブラウン・ライヴ】 有事。
「マーヴァ・ホイットニー・ウィズ・オーサカ=モノレール初来日決定」 「いやあどうもどうも。これもう発表していいの?」と僕。すると中田さん「いいですよ、ぜひ」 「今日は(ライヴは)?」 「僕は、明日です」 2003年10月以来2年5ヶ月ぶりのジェームス・ブラウン・ライヴ。72歳、だいぶステージで他のミュージシャンやダンサーたちに時間を与えることが多くなったが、それでも、やはりゴッドファーザー・オブ・ソウルは、何が起こってもゴッドファーザーだ。 ドラムス2人、ギター3人、ベース、パーカッション、トランペット2、サックス、MC(ダニー・レイ)、ビター・スイート(コーラス4名)、男性コーラス(RJ)、ダンサー2人、最大ステージに18名とジェームス・ブラウンの19名。 いつも通りバックバンドのソウル・ジェネラルが1曲演奏してから、専属司会者ダニー・レイが出てきて、思い切り煽られてジェームス・ブラウン赤いスーツで登場。観客熱狂。 今回のステージのポイントは、バックコーラスのビタースイートの出番があまりなし。前回まで参加していた元妻トミー・レイがいなくなり、そのパートがなくなった。(これはよし) 1曲が長くなり、各ミュージシャンにソロをやらせる部分が多くなっていた。全体的に演奏部分が多くなっている。(微妙) 「リヴィング・イン・アメリカ」では、例のお約束のマントショウ。司会者ダニー・レイがマントをミスター・ブラウンにかけ、彼がそれを脱ぎ捨てる。まず銀色のマント、そして、曲が「プリーズ・プリーズ・プリーズ」になってから、2度目。緑色のラメのマント、そして、3度目は赤のぴかぴかのマント。3着ともみな色違いだ。(最高) この日の最大のハプニングは、「プリーズ・プリーズ・プリーズ」で、ミスター・ブラウンのマイクが壊れてしまったこと。急に声が入らなくなってしまったのだ。それまで使っていたスタンドマイクが入らなくなり、右手からスタッフがすぐに別のマイクスタンドを持ってきた。最初はその声が入ったが、すぐにそれもダウンした。マイクを指差し「これもだめだ」という仕草を見せたミスターブラウン。舞台右手のエンジニアたちは、みな焦っている。さすがにもう余分のマイクはなかったようで、ミスターブラウンも手持ち無沙汰となった。 有事のミスターブラウンはしかし、まったく焦りもしない。ゆっくりと舞台正面のキーボードのところに進むと、何やらバンドに指示を出して、ジャムセッションを始めた。まもなくサックス奏者に指示がだされ、サックスソロへ。 3-4分たって、マイクが直ってきて、ゴッドファーザーは言った。「技術的な問題はいつでも起こるもんだ。それを解決してくれたスタッフに大きな拍手を!」 当然、ブラウンはこの不手際に怒ってるに違いない。だが、マイクを直してくれたことに感謝した。いやあ、すばらしい。まさに百戦錬磨のライヴをこなしてきた超ヴェテランだけにできる余裕だ。 マイクが戻ってきたからのブラウンは、何事もなかったように、ショウを進めた。まさに Show Must Go On という感じだ。 ところで、このマイク・トラブルの場面だが、あの時、舞台にいたバックシンガーのひとりRJのワイアレス・マイクをブラウンに渡すという手はなかったのだろうか。とりあえず、歌は歌えるはずだ。ということを、ライヴ後に近くのバーで会ったジェームス・ブラウン愛好家の佐藤潔さんにぶつけてみた。すると「やはり、ブラウンはあのマイク、コード付きのマイクじゃなきゃだめなんじゃないでしょうか。ワイアレスでは。まあ、わかりませんが」というご意見。確かに、そう言われるとそうかもしれない。ワイアレスマイクで、マイクスタンドを観客席側に蹴ったら、倒れて終わる。(笑) コードがないからひっぱり戻せない。 それと途中どの曲だったか忘れたが、ミスターブラウンが後ろを向いている時に誰かのミュージシャンに向かって右手で左手を切るような仕草をした。それを見て、なんとなく誰かが間違いを犯し、「だめだぞ。罰金だ」あるいは「間違いだ、カットカット」とメッセージを送っているように思えた。誰かが粗相をしたのだろうか。思い過ごしかな。 この日のハイライトは、スローバラード「マンズ・マンズ・ワールド」でのこと。なんと、ブラウンは曲途中で通訳を呼び込んだ。そして、メッセージを語り始めた。「今、世界で起こっていることについて話をしたい。今、あちこちで戦争が起こっている。それは、人々に愛が足りないからではないだろうか。だから貴方の右側の人に『愛してるよ』と言ってあげてください。そして、今度は左側を向いて、『愛してるよ』と言ってください。みなさん愛が足りないのではないでしょうか。ぜひ、お互い愛し合ってください」 そう、世界に愛が溢れれば、戦争はなくなるはずだ。こんなことは、前代未聞だ。 そしておもしろかったのは、「アイ・フィール・グッド」、いつものように超ごきげんな二人の女性ダンサーが元気一杯跳ねていたが、途中で上半身を後ろにそらせ、見事なソウル版イナバウアーを見せてくれた。以前もやっていたのだろうが、なんか、妙にタイムリーであった。それにしても、前回とはまったく違う構成だったので驚いた。 かつてミスター・ブラウンは僕にこう言った。「君が(前日に)見たステージは、我々が出来ることのほんの5%だよ」 自由自在、変幻自在に何でも組合せが可能なジェームス・ブラウン・ショウ。二度と同じショウはない。組合せは無数だ。今日、また、別の5%を見せていただいたということになる。そして明日、また別の5%を見せていただこう。 ■ジェームス・ブラウン過去記事 2003/10/03 (Fri) 2003/10/04 (Sat) 2003/10/06 (Mon) 2003/10/07 (Tue) Setlist (Incomplete) show started 18:11 (with special thanks to Mr. Sato Kiyoshi for making setlist) (2006年3月4日土曜、東京国際フォーラムA=ジェームス・ブラウン・ライヴ) |