August 17, 2006

Looking For An Echo: A Street Musician Under A Girder Bridge

【ガード下のミュージシャン】

エコー。

近くのツタヤによった帰りに、車を走らせていると五反田駅のガード下で、なんとサックスを吹いている黒人がいた。夜の12時半くらいか。最初は通り過ぎたのだが、瞬間、なんでこんなところでと思い、車をバックさせてみた。(普通はバックなんかさせない。物好きだ) こんなところ、終電終ったら誰も通らないぞ。(笑) 

確かにそこはちょうどガード下なので音が響く。昔、アカペラ・コーラス・グループがエコーがいいので、ガード下、橋下などで練習したが、彼のサックスもけっこう響いていた。

僕が車を寄せると、彼が近寄ってきた。彼に尋ねた。「毎日、ここでプレイしているの?」 「ああ、11時半くらいから1時くらいまでかな。毎日、やってるよ」 「どこ出身?」 「元々はジャマイカだ。その後、ニューヨーク、ロスアンジェルス。でも、ロスアンジェルスはあんまり好きじゃない」 「普段は何をしてる人?」 「作家(writer)だ。映画の脚本を書いている。今も日本人俳優の脚本、書いてるんだ。原宿、表参道、代官山、渋谷、そんなところが舞台の映画だよ」 「へえ~~」 

しばらく雑談していると彼に名刺があるかと言われたので、ちょっと躊躇したが渡した。そして、「僕はメルヴィンだ。よろしく」と言う。ところどころ、日本語をまじえ、少し訛りのある英語だ。そんな彼がこう尋ねてきた。「映画『グリーンマイル』って知ってるか?」 「もちろん、知ってるよ。スティーヴン・キングでしょ」 「あれは俺が書いたんだ。でも、やつらが盗んだ。ハリウッドのプロデューサーたちが、俺のアイデアを盗んだんだ」 「へえ、じゃあ、訴えったらどうなの?」 「そう弁護士に聞いたが、大きなスタジオ、有名なライター、彼らは巨額のマネーを持っていて、こっちも金を持ってないと、まったく勝てないって言われたよ。でも、俺はいいんだ。アイデアはいくらでもあるからな。書いて書いて書きまくるのさ。ははは」

まあ、話半分というか、どこまで本当かまったくわからないのだが、こういう胡散臭い(うさんくさい)、怪しげな人物の話って、けっこう茶飲み話題におもしろい。例えば、日本で言えば、そうだなあ、松本清張の『点と線』、あれ、俺が書いたんだよ、と言うようなものだもんなあ。なかなか言えないよねえ。あるいはすっごく有名なヒット曲、例えば「およげたいやき君」をして、あれ、俺が書いたんだ、みたいな話。

しかし、なんであんな人通りも少ないガード下で毎日演奏してるんだろう。もっと人が集まりそうなところでやればいいのに。ガード下ゆえに、上に山の手線が走ると、音は聴こえなくなるのだ。彼もまた、エコーを求めているのかな。演奏はちゃんとは聴いてないんだが、今度そっと聴きに行ってみようかな。

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投稿者 吉岡正晴 : 03:44 AM | コメント (0)