April 01, 2009

April 1st, 1984, Los Angeles: The April Fool's Day

[ ENT>BOOKS]

【マーヴィン・ゲイ、1984年4月1日、ロス・アンジェルス】

エイプリル・フール。

今からちょうど25年前、1984年4月1日は日曜日だった。

 「1984年4月1日、ロス・アンジェルス。ごく普通の日曜の朝だった。天気は暖かく、市内で目覚めた人は、新鮮な空気を吸いにビーチにでも行こうかと思っただろう。父ゲイは、息子がすでに6カ月も同じ家に暮らしていることに苛立ちを募らせていた。彼らの関係は、まるで古傷が化膿したかさぶたのように悪化していた。お互いの感情は一触即発の様相を呈していた。

 マーヴィンにしてみれば、自分がもう随分前に家長になっていたはずだった。父ではなく、自分が母を養っている。しかし、父ゲイはその事実を絶対に認めようとしなかった。以前も、今も、そして特にこの数カ月間も。

 父ゲイには(保険の)書類が必要だった。

 我慢できなくなった彼は妻に向かって叫び、その声は大きな家の2階まで響き渡った。マーヴィンはそのとき栗色のローブを着てベッドに横たわっていた。母が脇に寄り添い、互いに囁くような声で話をしていた。71歳のとても信心深い女性であるアルバータ・ゲイは、息子の病んだ精神を和らげるためによく聖書を読み聞かせ、彼女なりに勇気と希望を与えようとしていた。しかし、最近では、彼女もすっかり力を使い果たしていた。

 階下からの父の叫び声はマーヴィンをナイフのように突き刺した。彼は下に向かって怒鳴り返した。何か母に言うことがあれば、面と向かって言え、と。

 書類を見つけられずに苛立っていた父親は、怒り狂って階段を上がって来た。彼は息子の部屋に入ると、妻を怒鳴りつけた。マーヴィンは母親を守ろうと飛び起き、父に部屋を出るように命じた。父親は一歩も引かなかった。失望し怒りがこみ上げ半狂乱になった息子は父親を部屋から廊下に突き飛ばした。

 ゲイ夫人は言った。「マーヴィンは父を殴ったわ。やめて、と叫んだけれど、彼は構わなかった。夫に強烈なパンチを何発か見舞ってたの」

 ジニー・ゲイは説明した。「以前、父ははっきりと言っていたわ。もしマーヴィンが自分を殴ったら、彼を殺すって。父は何度もそう公言していたわ」

 最終的にゲイ夫人がふたりを引き離し、息子に部屋に戻るよう言いつけた。

 数分後、父がドアに再び現れた。彼は落ち着いて見えた。しかし、38口径のリヴォルヴァーがその手に握られていた」

~『マーヴィン・ゲイ物語~引き裂かれたソウル』デイヴィッド・リッツ著(ブルース・インターアクションズ刊)(一部抜粋)

なぜ、こうなったのか。そして、この後どうなるのか。抜群の筆致で著者デイヴィッド・リッツはこのシンガー、マーヴィン・ゲイの生涯を追います。この続きはぜひハードカヴァーの書籍でごらんください。2009年5月20日リリース。体のいい予告編です。(笑)

ENT>BOOK>Gaye, Marvin


投稿者 吉岡正晴 : 03:23 AM | コメント (0)

March 31, 2009

Proof Reading Continues: "Divided Soul": Release Date Is Set

[ ENT>BOOKS]

【『マーヴィン・ゲイ物語~引き裂かれたソウル』発売日、正式タイトル決定】 

初校。

昨日のブログの続きで、ギャヴィン・クリストファーの話を書く予定だったが、ちょっとまとめるのに時間がかかりそうだったので、軽く、マーヴィン・ネタを。

現在初校がでて、その校正を急ピッチでやっているところ。ざっくりいって半分くらいまで目を通し、紙に赤入れをする作業が続いている。木曜朝までに戻すことになっている。これがすめば、文字データを本の形に流し込んで、最終校正。そうするとページが決まるので、索引作り。同時にあとがき、登場人物一覧作り、ディスコグラフィー作り、それから90年に刊行されたヴァージョンについている前書き(初版にはないもの)(2ページ)の翻訳、写真のキャプションなどの作業にかかる。う~~ん、こうやってリストアップすると、まだまだ山頂が見えないなあ。

とはいうものの、半分は終わっている感じはある。(笑)ところで、出版の正式な邦題と正式な発売日が決まった。

『マーヴィン・ゲイ物語~引き裂かれたソウル』、2009年5月20日(水)発売。ブルース・インターアクションズから。いわゆる書籍の奥付の日にちはもう少し遅くなり、一方、実際書店に並ぶ日にちは、5月20日より前になる。

カヴァーはまだ最終決定ではないのだがマーヴィン・ゲイの『ホワッツ・ゴーイング・オン』の頃の顔写真が使われることになりそうだ。

さあ、もう後には引けない。(笑) 不退転の決意で臨みます。

+++++

今後のネタとしては、ギャヴィン・クリストファーの話し、ブレンダが話してくれたオバマ就任式に参加したときの話し、彼女のこれまでの軌跡、ハリー・ワインガーの話し、4月1日(命日)、2日(誕生日)のマーヴィン・ネタなどなどです。あと、しばらく前の「Old Tape Was Found(Part 1)」(2008年12月16日付)の続きも書かないと…。今週はマンハッタンズ、ナチュラリー・セヴン、週末からはもうナイル・ロジャースが来てしまう…。さてどこまで行けるか。


投稿者 吉岡正晴 : 07:11 AM | コメント (0)

March 03, 2009

"Okuribito"; Aoki Shinmon Interview & Murakami Haruki Speech On Mainichi Shinbun

[ ENT>BOOKS]

【毎日新聞が「おくりびと」青木氏インタヴュー、村上春樹氏「卵と壁」スピーチ全文を掲載】

掲載。

このところマーヴィン・ゲイの自伝にかかりきりなので、外にでてライヴを見ることが少なくなっているので、このブログも一般ネタばかりになってしまっていて申し訳ないが、それでも興味を持つニュースは出てくるもの。

ここ一か月だと、オバマ大統領就任スピーチ、村上春樹氏のエルサレム賞授賞式のスピーチ、そして、「おくりびと」のアカデミー受賞が僕には圧倒的に興味深かった。これでずいぶんブログ記事も書いた。

村上氏のスピーチ全文は本ブログでもすでに2009年2月20日付けでご紹介したが、その日本語と英語全文を毎日新聞が2009年3月2日付け夕刊で掲載した。(翌3月3日付けとで2回に分けての掲載) ネットでさまざまなブログを閲覧している方にはすでにおなじみのスピーチだが、紙面だとほぼ一ページの半分を使う。左横には解説も載っている。

僕も昔は何紙か購読していたが、今は古新聞が貯まる一方なので、宅配は毎日だけ。こういう特集記事になると各紙の色というか、個性が出て楽しい。一応簡単に調べてみたが、村上スピーチの日本語全文は毎日が初めてかな。青木さんへのインタヴュー内容は一番毎日がいい。

■毎日新聞2009年3月2日付け夕刊

村上春樹さん:イスラエルの文学賞「エルサレム賞」授賞式・記念講演全文/上
http://mainichi.jp/enta/art/news/20090302mog00m040057000c.html?link_id=TT003

同英文
http://mdn.mainichi.jp/mdnnews/news/20090302p2a00m0na004000c.html

■ソウル・サーチン・ブログ
February 20, 2009
Murakami Haruki's " Always On The Side Of Egg " or Simply "Egg & Wall" (Full Text): Speech At Jerusalem Award
【村上春樹氏「エルサレム賞」スピーチ全文】
http://blog.soulsearchin.com/archives/002835.html

February 21, 2009
About Haruki Murakami's Speech For Jerusalem Award
【村上春樹氏の「エルサレム賞」受賞について】
http://blog.soulsearchin.com/archives/002836.html

+++++

「おくりびと」関連、青木新門さんインタヴュー

もうひとつ、たぶん相当数インタヴューは露出しているのだろうが、毎日新聞2009年3月2日付け朝刊で「おくりびと」受賞の解説と青木新門さんのインタヴューが掲載され、読んだ。これも一ページの半分をどーんと使った記事。僕は一度薫堂さんにゆっくり話が聞きたいなあ。

■ 毎日新聞2009年3月2日付け朝刊(ウェッブではパート3まで)

おくりびと:「納棺夫日記」との違いは?なぜ原作ではない?(1)宗教色薄めて家族を描く
http://mainichi.jp/enta/cinema/news/20090302mog00m200033000c.html

おくりびと:「納棺夫日記」との違いは?なぜ原作ではない?(2) 多くの共通点も
http://mainichi.jp/enta/cinema/news/20090302mog00m200034000c.html

おくりびと:「納棺夫日記」との違いは?なぜ原作ではない?(3止)「納棺夫日記」著者・青木さんに聞く
http://mainichi.jp/enta/cinema/news/20090302mog00m200035000c.html

■ 朝日新聞2009年2月25日付

「おくりびと」オスカー受賞の陰に…青木新門さん~「納棺夫日記」映画のもとに ブックインが94年に功労賞
http://mytown.asahi.com/tottori/news.php?k_id=32000000902250002

この朝日の記事も、なかなかおもしろかった。なんだか新聞切り抜き、やってるみたいです。(笑) 

■ ソウル・サーチン・ブログ「おくりびと」関連

February 24, 2009
Real Departures For Soul: Motoki's Soul Searchin Journey To India
【ソウルの真の出発】
http://blog.soulsearchin.com/archives/002840.html

February 25, 2009
Roots Of "Okuribito [Departures]" : Aoki Shinmon's Book
【青木新門氏の『納棺夫日記』は『おくりびと』の原点本】
http://blog.soulsearchin.com/archives/002841.html

February 26, 2009
"Okuribito [Departures]" Saga Continues: 
【「おくりびと」誕生へのご縁】
http://blog.soulsearchin.com/archives/002842.html

ENT>MOVIE>Okuribito
SPEECH>Murakami, Haruki

投稿者 吉岡正晴 : 06:03 AM | コメント (0)

March 02, 2009

"Divided Soul": Marvin Gaye's Biography: Why It Took So Long To Translate?

[ ENT>BOOKS]

【マーヴィン・ゲイ自伝『マーヴィン・ゲイ物語~引き裂かれたソウル』~予想外の時間】 

言い訳。

どうもこうもないんだが、なんでこんなに時間がかかるんだ、というのが正直なところなのだが…。レイ・チャールズ自伝のときは、同じデイヴィッド・リッツの作品なのに、比較的すいすいできて、かなりの集中で映画公開に間に合った。だが、今回は出足がちょっとおそかったこともあるのだが、それ以上に難航しているというのが正直なところ。

その理由は、まあ、いくつかあるのだが、第一に英語が難しいということがある。デイヴィッド・リッツが書いた地の文章が、彼の観察や論評、意見などがはいってきていて実に難しい。たとえば、レイ・チャールズの場合は、ほとんどレイ・チャールズの言葉を聞き書きしたと言ってもいいのだが、そのため、レイの言葉をどんどん訳していくことになる。話言葉ということもあって比較的なんとかなる。レイの言葉はわかりやすい。もちろんマーヴィンのコメントも多数あって、それはいいんだが、なにしろリッツの文が大変だ。

先日も、イギリスの詩人のところでつっかかってしまった話を書いたが、彼がインテリで教養がある分、こちらの苦労が多い。こっちは英文学など専攻してないからなあ。(苦笑) 引用も多く、それらの引用先の文献など資料に当たっていると、それでまた時間を取られる。それはそれで楽しいんだが。それだけ、彼なりの深い分析や観察があって大変やりがいがあるのだが、日本語がどうしても理屈っぽくなってしまって、何度も何度も日本語を読み直し、もっと砕けた言い方はないだろうかと考えていると、即、夜が明ける。どんぴしゃな日本が浮かんだときは、ほんとやったあ、という感じになるが、訳としては間違ってないとしても、直訳調で理屈っぽかったりすると、どうにも気持ちが浮かない。

あと、第二に僕自身の集中力が弱まっているのかなあ。(泣) ま、これは情けないと言えば情けないんだが。すぐコーヒーいれたり、たべっこ動物食べたり、ポテチに手が伸びたり、よろしくない。(笑)

今日はアルバム『アイ・ウォント・ユー』制作のあたりです。当然BGMはそれをかけながら…。

さあ、もう一息です。しばしお待ちを。

■ アイ・ウォント・ユー(デラックス・エディション)

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マーヴィン・ゲイ
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■ マーヴィン・ゲイ唯一の本人語り下ろしの自伝『マーヴィン・ゲイ物語~引き裂かれたソウル』(デイヴィッド・リッツ著、吉岡正晴翻訳監修=ブルース・インターアクションズ、2009年4月17日発売予定)

ENT>BOOK>Gaye, Marvin


投稿者 吉岡正晴 : 01:32 AM | コメント (0)

March 01, 2009

"Divided Soul": Marvin Gaye's Biography: Why His Soul Was Divided?

[ ENT>BOOKS]

【マーヴィン・ゲイ自伝『マーヴィン・ゲイ物語~引き裂かれたソウル』予告編】

予告編。

まあ、翻訳の苦労はあるのだが、この原書は本当におもしろい物語だ。映画の予告編の如く、本の予告編を。

著者デイヴィッド・リッツはマーヴィン・ゲイ不慮の死の前4~5年をマーヴィンと一緒に過ごし、ベルギーのオスタンデにも行き、多くの時間を過ごしている。そこからたくさんの事実を集め、そうして集めた事実をジグゾーパズルのピースをはめていくようにひとつひとつ埋めていきながら、ストーリーを構築し、ヴィヴィッドにマーヴィンの真実を浮かび上がらせる。

一体マーヴィンとはどんな人物なのか。どのような性格で、何を恐れ、何に喜びを感じていたのか。神と愛についてどう考えていたのか。交錯する性と聖と生と死。自分より17歳年上の最初の妻、アンナ。そして、自分より17歳年下の二人目の妻、ジャン。彼は二人の妻とどのように接していたのか。その野心と夢はいかに熟成し、彼の猜疑心と嫉妬はどのように大きくなっていくのか。

アイドルからアーティストへの成長。社会に目を向けた世紀の傑作『ホワッツ・ゴーイング・オン』はいかにして誕生したか。対照的に性をあからさまに歌った傑作『レッツ・ゲット・イット・オン』は誰に向けたメッセージだったのか。

なぜマーヴィンはこんなでたらめな生活を送るのか、なぜ彼はこんなに精神的に弱いのか、なぜ彼はライヴが嫌いなのか、なぜ彼は家に引きこもるのか。なぜ彼の心はこれほどまでにもろく、そのソウルはこんなにも簡単に引き裂かれてしまうのか。そのルーツにある幼少の頃からの父との壮絶な確執。父を憎み、しかし、最後の最後までずっと父に愛されたいと思い続けたマーヴィン・ゲイ。その愛と憎しみに引き裂かれたソウルが、父親に銃弾を発射させることになっていく。知られざる激動のそして壮絶な44年のマーヴィンの人生が明らかになる。

「セクシュアル・ヒーリング」の共同作者でもあるデイヴィッド・リッツがソウル作家として渾身のソウルを込めて書いた超力作。

マーヴィン・ゲイ、本人が語った唯一のオフィシャル自伝。マーヴィン生誕70周年、没後25周年記念発売。世界初翻訳、『マーヴィン・ゲイ物語~引き裂かれたソウル』!! ついに日本発売間近!! 

(映画の予告編みたいですね。読みたくなったでしょう?(笑))

■ マーヴィン・ゲイ唯一の本人語り下ろしの自伝『マーヴィン・ゲイ物語~引き裂かれたソウル』(デイヴィッド・リッツ著、吉岡正晴翻訳監修=ブルース・インターアクションズ、2009年4月17日発売予定)

ENT>BOOK>Gaye, Marvin


投稿者 吉岡正晴 : 01:34 AM | コメント (0)

February 22, 2009

Marvin Gaye's Biography "Divided Soul" Will Be Out On April

[ ENT>BOOKS]

【マーヴィン・ゲイ自伝『マーヴィン・ゲイ物語~引き裂かれたソウル』4月17日発売】

予告。

マーヴィン・ゲイの自伝の翻訳はかなり大詰め。残り50ページ(本文・全340ページ)の第一訳を残しつつ、頭の1ページ目から見直し作業をして、カンパケにする作業へ。じっくり翻訳文を手直しするのだが、これが意外に時間がかかる。だいたいできていたと思っても、時間を空けると思わぬ解釈違いを発見したり、最初の訳だとかなり直訳調であまり読みやすい日本語ではなかったり、ということが多々発見される。そういうのを読みやすい日本語に直すのだが、手間隙かかる。

編集者から2009年4月17日発売予定でのスケジュールをもらい、これに沿ってがんばりましょう、と尻を叩かれた。ということで最終コーナーに入ったかに見える翻訳作業だが、最後の最後まで息は抜けない。

それにしても、マーヴィン・ゲイという人物は、なんでこんなに繊細で、もろくて、そしてプライドが高いのか。多重人格で、さまざまな顔を持ち、性と聖が同一人物の中に存在する。生まれたときから存在した父親との確執。父との確執によってマーヴィンのソウルは引き裂かれた。引き裂かれたソウルが生み出す過酷なソウルフル・ライフ。これが生涯続き、最後の予期せぬエンディングに。

本書が英語以外の言語で刊行されるのは、日本が初めて。世界初翻訳版だ。しかもマーヴィン本人と約5年弱にわたり密着取材を敢行して、さらに彼の家族など多数の関係者を取材したマーヴィンの本はこの世にこれしかない。彼の言葉が文字の中に生き、そしてメロディーとして飛び出してくるマーヴィン・ゲイ・バイオグラフィーの決定版。

そんなこんなで、次のような告知が出た。

http://diskunion.net/black/ct/detail/50B090217701

マーヴィン・ゲイ物語 引き裂かれたソウル / デイヴィッド・リッツ 著/吉岡正晴 訳
ブルースインターアクションズ / JPN / BOOK / 86020318 / 2009年04月17日 / 2,940円(税込)
2009年4月17日発売 デイヴィッド・リッツ著/吉岡正晴訳 四六版 350頁

世界初翻訳!

読めば映画化したくなる!音楽ファン待望の傑作バイオグラフィー!

モータウン50周年記念出版!激動のアメリカに、癒しを与えたNo.1ソウルシンガーの壮絶な人生。マーヴィンとの親交の厚い著者(「セクシュアル・ヒーリング」作詞)だから描けた真実の姿。ナット・キング・コールのようなバラード・シンガーになりたかったマーヴィンの失意とは?「ホワッツ・ゴーイング・オン」がどう生まれ、「レッツ・ゲット・イット・オン」がどうできたか?実父に射殺されるという衝撃的な死の真相とは?ソウルファンのみならず全音楽ファン必読の書。

BOOK>Gaye, Marvin


投稿者 吉岡正晴 : 04:51 AM | コメント (0)

February 04, 2009

Marvin Gaye 's Biography "Divided Soul": Countdown To Final Day

[ ENT>BOOKS]

【マーヴィン・ゲイ自伝翻訳・遅々として…進む…】

カウントダウン。

2009年4月に発売予定のマーヴィン・ゲイ唯一の自伝『ディヴァイデッド・ソウル~引き裂かれたソウル』(デイヴィッド・リッツ著=ブルース・インターアクションズから発売)の翻訳作業に没頭している。現在、本文340ページのうち、昨日までで288ページまで来た。あと52ページ、もうひといきだ。

マーヴィンが『離婚伝説』を出し、なんとか、最初の妻アンナとの離婚が成立し、しかし二度目の妻ジャンともうまくいかず、ジャンはテディー・ペンダーグラスとできてしまい、マーヴィンは失意のうちにロンドンにいつく。このロンドンでのマーヴィンは廃人同様で、どうしようもなく落ちぶれており、そこからどうやって這い上がっていくことができるのか。日々ドラッグに溺れ、しかし、そのドラッグ代はなく、彼は一文無し。新作の録音もままならないために、モータウンからの一銭ももらえず、まさに路頭に迷っていると言ってもいいどん底状態だ。

彼の人生には問題が山積している。税金・経済問題(自宅は没収され、滞納の税金の支払いを迫られている)、女性問題(一番愛しているジャンとうまくいかない)、ドラッグ問題(ずっとドラッグ中毒で、そこから抜け出せない)で八方塞り、自ら死を望むかのような状況にさえ陥る。

マーヴィンはこの後ベルギーのオステンドへ逃避行。そこで、かの「セクシュアル・ヒーリング」の原型が生まれるが、モータウンとの契約をどのように切るのか。ベリー・ゴーディーとの確執をどのように解決するのか。

マーヴィンの人生、そしてキャラクターには、すべて二面性がある。神的存在と、超俗人としての存在、音楽に没頭する男と、ドラッグに溺れる男、クリエイティヴでは完璧なアーティストだが、自堕落なだめ人間。プライドは誰よりも高いが、実は気がものすごく小さく、嫉妬深い。すべて彼の魂は2つに引き裂かれているのだ。だから、ディヴァイデッド・ソウル。幼少の頃からの実父との確執、父に愛されたいと思いつつも、一度も愛されなかったことが、大きなトラウマとなっているその人生。そして、2人は最後までお互い相容れることはなかった。

この本を読んだ映画人なら、だれでもこれを映画化したいと思うことがよくわかる。これほど、劇的な、しかも状況なども完璧なドラマなどなかなかない。事実は小説より奇なりとはよくいったものだ。

ちょうど今翻訳が進んでいるところは、マーヴィンの人生が「セクシュアル・ヒーリング」、そして凱旋公演へと一歩一歩進むあたりだ。それは、まさにマーヴィンの終焉へのカウントダウンだ。そして、翻訳作業もいよいよカウントダウン。ご期待ください。

ENT>ARTIST>Gaye, Marvin


投稿者 吉岡正晴 : 02:42 PM | コメント (0)

January 07, 2009

Marvin Gaye 's "Divided Soul" & Me

[ ENT>BOOKS]

【マーヴィン・ゲイ自伝~『ディヴァイデッド・ソウル(引き裂かれたソウル)』について】

24年。

マーヴィン・ゲイの自伝『ディヴァイデッド・ソウル』(デイヴィッド・リッツ著)が全米でリリースされたのは1985年春。マーヴィンが父親の銃弾に倒れ急死したのは、その1年前の1984年4月1日のこと。僕がこの本を手に入れたのは、1985年5月22日、今はなき銀座の洋書店イエナで入手した。なんと、オリジナルのハードカヴァーは16ドル95セント(1ドル200円として3400円くらい。これに郵送料がかかる)だが、日本円で5760円で買ったとメモしてある。けっこう高い本だ。

DSC08941.JPG

この340ページもある分厚い本を何とか読み始めるのだが、これが実におもしろい。マーヴィンがどんな性格だったのか、どういう意識を持っていたのかなどがわかり、マーヴィンのそれまでに知っていた情報とまったく違うものを知った。

徐々に、この本のタイトルが『ディヴィデッド・ソウル(引き裂かれたソウル)』となっている意味がわかってくる。マーヴィンの人生は、常に神と世俗、良い子のイメージとバッド・ボーイのイメージなどの相対するキャラクター二重人格的要素で固められてきていた。つまり、そしてその人生になんらかの破綻が起き、彼自身の生き様が「引き裂かれたソウル」だったのだ。

さらに、反体制、アンチ・アメリカ、反戦と彼は常に戦う男でもあった。また幼少の頃からの父親との確執も詳細に語られ、父の元からの逃亡が人生初期の大きな節目になっていることが明かされる。その父との確執は、後年「ホワッツ・ゴーイング・オン」などにもでてくるが、最終的には、その父親の銃弾にマーヴィンの人生の終止符が打たれるところで、最初から最後まで父との戦いだったということが浮かびあがる。

マーヴィンは、常に音楽をパーソナル(個人的)なものにしていた。彼はラヴ・ソングを最初の妻で17歳年上のアンナのために歌い、次に二番目の妻で17歳年下のジャニスのために歌っていた。彼は日々感じたことを歌に託していた。


マーヴィンが女性歌手とデュエットを歌うと妻が嫉妬する。マーヴィンより若いアーティストがでてくると、マーヴィンがその成功に嫉妬する。ベリー・ゴーディーがダイアナ・ロスばかりを売り出すのに躍起になり、失望し傷つく。あまりに繊細で弱い人間マーヴィン・ゲイ。ドラッグ、税金問題、仮面夫婦から最終的に離婚、ヨーロッパへの逃避行、奇跡のカンバック、大ヒット。元祖トラブル・マン。こんな劇的、壮絶な人生があるだろうか。読み物としてもかなりおもしろい本である。

彼の恩人ハーヴィー・フークワについては、拙著『ソウル・サーチン』でマーヴィンの話ともからめて書いたが、この本はマーヴィン・ゲイのバイオグラフィーである。当初、ナット・キング・コールのようなバラード・シンガーになりたかったマーヴィンの失意とは。「ホワッツ・ゴーイング・オン」がどう生まれたか、「レッツ・ゲット・イット・オン」がどうできたか。完成の折にはぜひご一読ください。

『ソウル・サーチン~マーヴィン・ゲイがあこがれた男』ハーヴィー・フークワの章。
http://www.soulsearchin.com/soulsearchin/2.html

実は1985年にこの本を手にいれ、すぐに自分なりに訳し始め、こういう本なら翻訳してみたい、と思った。とはいっても最初の10ぺージくらいで挫折していたが。ただ、翻訳して日本で出してみたいと僕が思った最初の本が、このデイヴィッド・リッツ著の『ディヴァイデット・ソウル』だった。1990年代に一度別の出版社から翻訳版リリースの話があり、出版作業が別の訳者で途中まで進んだのだが、諸事情で中止となり、その後はこの本に関しては宙に浮いていた。どうなるんだろうとは思っていたがすっかり忘れていた。

当時は、僕にも翻訳本を出すノウハウ、その前に翻訳技術などまったくなかったが、その後1996年に僕はベリー・ゴーディー・ジュニアの自伝本を翻訳監修し出版することができた。なんとなく、この出版の世界のことがおぼろげにわかり、以後いくつかの翻訳本なども出すことになった。そして、2005年にはデイヴィッド・リッツが最初に書いたレイ・チャールズの自伝を翻訳することになった。

僕はデイヴィッドと1994年4月に知り合い、そのときにこのマーヴィンの本にサインをもらった。以来彼とはメールなどのやりとりをするようになった。スモーキー・ロビンソンのボックス・セットのライナー翻訳のときなども、わからないことをいろいろ教わった。彼は、スモーキーの自伝も書いている。

デイヴィッドの英語は、本人がインテリであるだけに、けっこう難しい。ヴォキャブラリーが多い。当時の手書きで試しに訳したものが、原稿用紙に残っているが、20年以上前のものに今、とりかかっているというのが不思議な気持ちだ。

デイヴィッドに『ディヴァイデッド・ソウル』の翻訳をやることになった、とメールすると大変喜んでくれた。彼は昨年、中国のピアニスト、ラン・ランの本を書くために中国に滞在していた、という。そのとき、日本を懐かしく思い、また行きたいと思ったそうだ。

さて、昨年(2008年)の9月から翻訳作業に入り、この1月に終了、の予定だったのだが、まだ実は3分の1あたり。この1月がかなり切羽詰っている状況だ。自分でも間に合うのか少々心配になっているのだが、こうして、発表して自分を追い込むことでモチヴェーションを高めようと思う。(笑) ということで、今月はかなりライヴの回数も減らさなければならないようなので、ご了承ください。でも見たいのは行きますが。(笑) また、マーヴィン本の翻訳進行状況については折に触れ、ご紹介していきます。

(本ソウル・サーチン・ダイアリーにおけるマーヴィン・ゲイ記事の一覧を後日まとめます)

ENT>BOOK>Divided Soul


投稿者 吉岡正晴 : 12:10 AM | コメント (0)

January 06, 2009

Marvin Gaye's Autobiography Will Be Published In Apirl

[ ENT>BOOKS]

【マーヴィン・ゲイ自伝・翻訳版、生誕70周年の4月に発売】

発表。

稀代のソウル・シンガー、マーヴィン・ゲイが唯一残した自伝『ディヴァイデッド・ソウル(引き裂かれたソウル)~マーヴィン・ゲイ物語(仮題)』(原題Divided Soul)(デイヴィッド・リッツ著=1985年)の日本語翻訳版が2009年4月、ブルース・インターアクションズから発売される。翻訳・監修を吉岡正晴が行う。

この著作は1985年、それまでマーヴィンに長期間取材を行っていた作家デイヴィッド・リッツが1984年4月1日のマーヴィンの突然の死を機に、いっきにまとめて出版したもの。デイヴィッドとマーヴィンは何十時間もの間、話をし、膨大な量のインタヴューを行っていた。取材は79年以降に始まったが、特に、マーヴィンが80年代に入ってベルギーで隠遁生活をしているときも、ベルギーまで出向いて取材をしている。その期間に、デイヴィッドとマーヴィンは、「セクシュアル・ヒーリング」の原型となるコンセプトを考え、同曲はマーヴィンの奇跡的カンバック曲になった。しかし、印税問題で当初デイヴィッドのクレジットがないことから訴訟に発展するが、結局、デイヴィッドのクレジットが入ることと金銭で解決した。

デイヴィッド・リッツは1943年12月ニューヨーク生まれ。ジャーナリスト、作家を目指していたが、1978年、苦労の末、レイ・チャールズの自伝『わが心のジョージア~レイ・チャールズ物語』(原題Brother Ray)を刊行。これにより伝記作家としての道が開ける。彼が次にてがけたのがこのマーヴィン・ゲイの自伝だった。デイヴィッドは、マーヴィンが1978年にリリースしたアルバム『ヒア・マイ・ディア(邦題、離婚伝説)』に関する評論をロスアンジェルス・タイムス紙に寄稿、これをマーヴィン本人が読み、自伝執筆につながった。ただ、当初は二人ともいつ発売するかまでは決めていなかった。

ところが、1984年4月1日、マーヴィンがまったく予期せぬ形で父親の銃弾に倒れ死去すると、周囲から自伝発刊を望む声がたかまった。約1年をかけてその後デイヴィッドは追加取材を敢行。1985年春のリリースとなった。

マーヴィン本人が語ったものとしては唯一の自伝であり、また英語以外の言語では日本語版が世界初となる。また、この原作を元にした映画が2本ほど企画されているが、現在はその製作は宙に浮いている。

日本でも一度、別の出版社で翻訳出版されることになっていたが、諸事情で発売が中止され、権利が浮いていたところ、今回新たにブルース・インターアクションズが出版権を獲得、出版となる。概要は次の通り。

【著作Divided Soul 内容】

著者  David Ritzデイヴィッド・リッツ
題名  Divided Soul
邦題 引き裂かれたソウル~マーヴィン・ゲイ物語(仮題)
初版発行  1985年
監修翻訳  吉岡正晴
ページ数 原書 368ページ(本文340ページ)
出版  Pヴァイン・ブックス~ブルース・インターアクションズ
定価 未定
発売日(予定)2009年4月2日 

●ポイント

■稀代のソウル・シンガー、20世紀を代表するソウル・シンガーでありソングライターでもあるマーヴィン・ゲイの唯一本人が執筆に加わった自伝。マーヴィンの自伝としては、すでに高い評価を得た決定版。

■マーヴィンの死直前までの徹底した取材から掘り起こされる壮絶人生。

■幼少時代からの父との確執が誰もが予期せぬ終幕を迎える。父とマーヴィン、最初の妻アンナとの結婚生活、さらに新しい恋人ジャンとの出会い、現実から逃れヨーロッパへの逃避行など激動の人生を見事な筆致で描くデイヴィッドの筆力。

■レイ・チャールズ自伝で評価を得たバイオグラファー、デイヴィッド・リッツ渾身の力作。

■ソウルミュージック評論家でリッツとも親交のあるソウルとソウルミュージックを十分理解した吉岡正晴の翻訳。

■ 2009年4月2日は、マーヴィン・ゲイ生誕70周年記念日。また前日4月1日は、1984年4月1日命日から25周年にあたる。

(明日以降のブログで、ソウル・サーチャーとこの本についてなどを書きます)

ANNOUNCEMENT> BOOK>Divided Soul
ENT>BOOK>Divided Soul
ENT>ARTIST>Gaye, Marvin


投稿者 吉岡正晴 : 01:22 AM | コメント (0)

November 29, 2008

Bits & Pieces: Books And Magazines

[ ENT>BOOKS]

【本とか雑誌とか】

雑誌。

先日、渋谷に出むいたときいくつか本などを見ていて、DJ高橋透さんが書いた本を入手した。『DJバカ一代』というもの。これは彼が六本木の「エンバシー」「アフロレイキ」から新宿のディスコ、さらに、ニューヨークの「セイント」「パラダイス・ガレージ」、そして、日本に戻り「ゴールド」などいくつものディスコでDJとして活躍してきた半生を書いているもの。

1970年代初期、彼が最初は「エンバシー」に客で来ていたことを知った。最初からDJだったような記憶があったからだ。多分彼が正式にDJというか、当時は従業員になったのは、僕が出入りするようになってからまもなくだと思うが、勝本さんの写真などもこの本にはでてくる。「ゴールド」の終焉までを描く。

この本にせよ、先日ご紹介した江守藹さんの『黒く踊れ』にせよ、1970年代から1980年代にかけての、日本におけるソウル・ミュージック・シーンあるいはダンス・ミュージック・シーンのことを書いた本がぼちぼち出始めたのはとてもいいことだ。数えればもう40年近くの歴史があるわけだから、やはりまとめる作業は必要だ。

さて、テレビか何かでオバマ氏のCD付き演説集が出て瞬く間に売り切れたとか言っていた。アマゾンで見たら12月3日入荷だって。

■オバマ演説集

生声CD付き [対訳] オバマ演説集\
CNN English Express編
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ということで、高橋透著『DJバカ一代』はこちら。↓

■DJバカ一代 高橋透著

DJバカ一代
DJバカ一代
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高橋 透
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ここ数日、これも先日創刊号が出たニューヨークの雑誌「ワックスポエティックス」第二号の翻訳などをちょこちょこやっている。第二号は12月26日発売。今回はアイザック・ヘイズの訃報記事を担当した。このほかにおもしろい記事として、12インチ・シングル・レヴュー、「カットアウト盤研究」などがある。「カットアウト盤研究」は、実におもしろい記事だ。レコードにいわゆる「カット」(切り込みや穴あけ)をして、定価より安価に放出するもの。レコードの不良在庫などを処分するときにレコード会社が、定価盤と区別つけるために、ジャケットなどに「カット」するものだ。この「カット」にもいろいろありそれを紹介するという、まあ、実にマニアックな話だ。

■ ワックスポエティックス第一号

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BOOKS & MAGAZINES>


投稿者 吉岡正晴 : 07:26 AM | コメント (0)

July 14, 2008

Illustrator Emori Ai’s Book Will Focus On Dancers In Japan

[ ENT>BOOKS]

【江守藹氏ダンサーにスポットを当てた著作を執筆】

列伝。

ソウルフルなイラストですっかりおなじみのイラストレーター、江守藹氏が現在、自身のソウル歴と、自身がかかわってきたダンサーたちにスポットをあてた著作を執筆中だ。タイトルは、『黒く踊れ!(ストリート・ダンサー列伝)』(発行・銀河出版=2008年秋発売予定)。現在第一稿が書きあがり、今秋の発行をメドに準備が進んでいる。

その第一稿を読ませていただく機会を得た。約19万字におよぶ大作(ページ数・版型などは未定)は、著者が高校生時代の1960年代中期からディスコの前身である新宿の「踊り場」に出入りし、そこで多くのディスコ関係者、ソウル・ミュージック好き、ダンサー、アメリカ人ブラザーたちで出会い、自身が影響を受け、ソウルの世界、ダンスの世界、さらには黒人運動などに興味を持っていく様を描く。

江守さんは「基本的にはこの本は僕の生き様の中で出会ったダンサーとその時代のストーリー」と言う。江守さんはご存知の通り、日本のソウル・ミュージックの発展に大きく寄与した人物のひとり。そのイラストは数多くのソウル系レコードのジャケットを飾ったり、雑誌などに掲載された。黒人を描かせたら彼の右に出るものはいないとまで言われ、1970年代から80年代にかけては、ソウル系のアルバムやシングル・ジャケットを軒並み描いた。そこで、江守氏とソウル・ミュージシャンたちとの邂逅(かいこう)にはまた別のストーリーがあり、それは次の著作で明らかにされる。

現在、ダンスは若い人たちの間でも大変な人気で、多くのスター・ダンサーたちも登場している。日本でソウル系、R&B系ダンス、ヒップホップ系ダンス、およびそのダンサーたちが注目されるようになったのは、ここ30年。江守氏はその創世記から自らダンスをするダンサーとして、また指導者としてニック氏、勝本氏らとともにシーンを見つめてきた。そこには多くの出会い、別れ、確執、友情、愛などがうずまいた。

僕もいくつか感銘を受けるところがあった。例えば、主人公(江守氏)が初めてダンス・パーティーに出かけたシーン、初めて黒人の友達に連れられて基地内のプールに行ったときにあからさまに受けた人種差別体験、新宿のディスコに出入りするようになり、そこで知り合ったこわもての用心棒、踊りがめちゃくちゃうまいDJなど。前者は、ドン勝本氏、後者はニック岡井氏、ともに昨年(2007年)急逝した日本ソウル界に多くの足跡を残した人物だ。江守氏が1980年代に一時期九州に本拠をおいていたことがあるが、そのときの話もおもしろかった。

江守氏がこの本を書こうと思ったのは、随分前のことだったが、彼ら2人の急逝によって、背中を押された感じがある、と言う。

読書感想文は、それぞれがお持ちになることと思う。ただ、僕が個人的に感じたことは、江守さん、勝本さん、そして、ニックさんの3人の間に横たわる「ソウル」「ソウル・ミュージック」「ダンス」の名の下に結ばれる強烈な友情だ。時には喧嘩や言い争いをしたこともあったが、結局はいつも一緒にいた「仲間」「同志」だ。僕は、そんな仲間や同志、あるいは親友を持て、共に熱く生きてこられた江守さんの人生をうらやましく思った。

[この『黒く踊れ!(ストリート・ダンサー列伝)』(発行・銀河出版=2008年秋発売予定)については、また発売などが決まりましたら、江守氏インタヴューなどを含めて、改めてご紹介します]

ENT>BOOK>Kuroku Odore!


投稿者 吉岡正晴 : 05:23 AM | コメント (0)

January 13, 2008

The Book For The Night Feel Down

[ ENT>BOOKS]

【『夜の凹み本』366のココロの風船】

一日イチゴ。

コピーライターとして大活躍している藤原ようこさんが初の本を上梓された。一冊送っていただいたのでさっそくご紹介したい。

タイトルは『夜の凹み本~366のココロの風船』(藤原ようこ著=大和書房=2008年1月15日初版発行=571円+税)。

コピーライターだけに、書下ろしの一言からいろいろ示唆に富んだものを366選んで、一冊にまとめた。藤原さんによると、「凹んだ夜に、開いたページを読んで、おやすみなさい。凹んだココロに風船をつけて、遠くの空に飛ばしちゃいましょう」とのこと。

どんな風船かというと~

たとえば、129(以下数字は、それを表す)、君の心の中に住んでみたい。
たとえば、216、明日の心はどんな色?

あるいは、253、想像力から創造力。
あるいは、254、言葉のチカラは、心のチカラ。

さらに、261、人生は、ときどき、矛盾百貨店。
さらに、292、凹んだ心は、いつか、凸む(ふくらむ)。

キャッチコピーは、読むのはた易いが、作り出すのは容易ではない。
そこそこのキャッチコピーを作るのは、頭から搾り出せばなんとかなるが、すぐれたキャッチコピーを生み出すのは、地獄の苦しみだ。
すぐれたキャッチコピーは地獄の苦しみの末に生まれるが、人々の心に残るキャッチコピーは、きまぐれで生まれる。

そして、367~深夜、『夜の凹み本』を読む。(©The Soul Searcher)

ここから教えられることは、文章は短ければ短いほどよい、ということ。ブログも短くしよっと。(笑)ところで、カヴァー帯の推薦文にピーコさんと、なんとベニーKだ。一体どんな接点が。もちろん、カヴァーの猫の絵は真鍋太郎さんだ。

最後にお気に入りを。101~孤独より、ショートケーキ。変化より、大福。

ブログより、青柳のイチゴ大福。(西麻布でついに先週から販売開始)(©The Soul Searcher)

夜の凹み本―366のココロの風船 (だいわ文庫 D 91-1)
藤原 ようこ
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ENT>BOOK>

投稿者 吉岡正晴 : 04:49 AM | コメント (0)

December 15, 2007

Irie Shinya’s Party Manual Book

[ ENT>BOOKS]

【カラテカ入江のコンパライフ 女子もう帰っちゃうの?】  

調査。

前々から頼まれていた本のご紹介。先日一冊本をプロデュースした売れっ子放送作家、金森匠氏がてがけた新しい一冊。タイトルは『カラテカ・入江のコンパライフ 女子もう帰っちゃうの?』(日本文芸社、1260円)。

どんな本かというと、この著者が死ぬほど合コンが好きで、合コン百戦錬磨の人物。その長年の経験からこうすれば、合コンのエキスパートになれる、合コンでもてるようになる、そして、うまく一対一のデートにもっていける、というノウハウを徹底的に書き記したものだ。

小見出しはたとえば、「幹事マックスの法則」「コンパと終電」「コンパとナンパ」「彼氏がいる女子の見分け方」などなど。思わず、な~~るほど、などと思ってしまう。さすが合コン評論家。そこまでやれば、プロだ。

そして、恐れ入ったのが「居酒屋リサーチ」。都内30軒程度の居酒屋を徹底リサーチした。何を調べたかというと、中生の種類、値段、その温度、分量(300CCなど)、泡と液体の比率、値段などなどだ。この温度と分量、泡比率の数字はすごい。生の温度はだいたい3-4度が多いが、中には0.7度というかなりキンキンのものがある。これをどうやって調べたかというと、ビールが運ばれるとまず、温度計で温度を測り、泡以外のビールを軽量カップに注ぎ込んで何CCかを測ったそうだ。同じ一杯でも250CCから400CC まであるのだ。

しかし、こんなこと調べて、どうするんだ。(笑) けっこう笑える。さあ、これから合コン目指す人は、ご一読あれ。いろんなノウハウがでている。

■カラテカ入江のコンパライフ 女子もう帰っちゃうの? 

カラテカ・入江のコンパライフ女子もう帰っちゃうの?
入江 慎也
日本文芸社 (2007/10)
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ENT>BOOK>Irie, Shinya

投稿者 吉岡正晴 : 05:26 AM | コメント (0)

October 19, 2007

Mimi Uranai: One & Only Ear-Mancy

[ ENT>BOOKS]

【耳占い登場】

耳占い。

友人の売れっ子放送作家、いや、ちがう、「超」売れっ子放送作家、金森匠氏から「ラーメンをおごるよ」と深夜呼び出された。ちょうど小腹もすいていたのでほいほい彼の家まで迎えに行く。彼のところは車で5分なので、町内会はちがうが、ま、ご近所さん。

で、道すがらこう言われる。「ねえ、ねえ、去年、耳占いの話したの覚えてる?ほら、耳の形って人それぞれで、千差万別なんだけど、その形を見るだけで、その人の性格やら、くせとかがわかっちゃうっていう話」 おお、おお、確かにそんな話もあったな。「その耳占いの先生が、本を出したのよ。これこれ」と言っておもむろに赤い表紙のかわいらしい本を出すではないか。彼プロデュースで、その耳の占いの先生の本を出した、というのだ。

タイトルは、『6つの耳タイプでわかるほんとうのあなた~耳占い』(中谷ミミ・著=日本文芸社=1050円)。耳の外形を『満月耳』、『三日月耳』、『真四角耳』、『長方形耳』、『三角耳』、『逆三角耳』に分け、さらに耳のパーツを上下左右で4つに分けて占う。34歳までの人は左耳を見て、35歳以上の人は右耳で見るという。

著者の中谷ミミさんは、すでにウェッブを出している。

http://mimiuranai.blog76.fc2.com/

金森氏曰く、「ほら、手相って見せてもらわないとだめでしょ。でも、この耳なら、初めて会った人でも何気に見ることができるでしょう。それで、性格とか当てたら、よくない?」。そういいながら、「おお、君の耳はいい耳だねえ。小金が貯まる耳だよ」。当たってないよ。(笑) 確かに、音楽を聴く部分では、「かなりいい耳」だとは思うけど。(笑) 

彼曰く、「これ、絶対、これから来るから。ブログで紹介して! 10万部売れたら、またおごるよ」。みなさんも、ぜひ、一度お試しあれ。

耳占い―6つの耳タイプでわかるほんとうのあなた\
中谷 ミミ ふじわら かずえ
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ENT>BOOK>


投稿者 吉岡正晴 : 03:02 AM | コメント (0)

September 27, 2007

Phyllis Hyman's Autobiography Has Published

[ ENT>BOOKS]

【悲劇のシンガー、フィリス・ハイマンの自伝全米発売】

自伝。

1970年代から活躍し一世を風靡(ふうび)し1995年6月30日に自殺したソウル・シンガー、フィリス・ハイマンの自伝が9月に発売された。筆者はジャーナリストのジェイソン・A・マイケル。マイケルは、ハイマンの死後すぐに彼女のストーリーを書こうと思ったが、何度も挫折し、結局完成させるまでに12年の歳月がかかってしまった。タイトルは『ストレンス・オブ・ア・ウーマン: フィリス・ハイマン・ストーリー』(女性の強さ:フィリス・ハイマン物語)。

マイケルは言う。「彼女の死後すぐに、本を書きたいと思った。まちがいなくそこにはストーリーがあると感じた。でも、その頃僕はまだ大学生だった。いろいろ挑戦したんだが、当時はうまく物事を進められなかった。自分以外にもハイマンのストーリーを書く人物が現れるかと思ったが、6年経ってそうした人物は現れなかった。ハイマンの本を読みたいと思ったら、僕が書くしかないと感じた。そして、書こうと思って3度目にしてやっと完成した」

マイケルは完成した作品をニューヨークのいくつかの出版社に売り込みに行ったが、どこの社からも「フィリスの本のマーケットはない」と断られた。さらに、エージェント2社を通じて売込みを続けたが、出版社はハイマンが死後マーヴィン・ゲイのようなアイコンになっていないこと、また、多くの人が彼女のことを記憶していないことなどを売れない理由として挙げていた、という。出版社は結局そのアーティストのファンがどれくらいいるのかにしか関心はなかったようだとマイケルは感じている。結局、大手出版社からのリリースはかなわず、マイケル自身がジャムブックスを設立、発売することになった。

マイケルは言う。「僕のゴールは、彼ら(大手出版社)がまちがっていたこと、そして、大きな機会を逃したと証明することだ」

マイケルは、フィリスの歌声の魅力に惹かれたひとり。「僕は彼女の声に痛みを聴く。それが僕の胸に直接響いているのだと思う。フィリスが死んだとき、僕は(R&Bシンガー)ベティー・ライトの下で働いていた。ベティーは1970年代にフィリスと一緒に仕事をしたことがあった。もちろん、ベティーは大変ショックを受けていたが、フィリスの自殺についてはそれほど驚いていなかった。このときに、僕はきっと何か(彼女の人生には語られるべき)ストーリーがあるに違いないと嗅ぎ取ったんだ」

彼自身はフィリス本人に会ったことはないが、周辺取材で書き上げた。「むしろ、会わなかったことで、自分の(彼女に対する)主観が入らず、バランスのとれた作品になったと思う」と語る。

取材によると、フィリスは1995年6月の自殺以前に1989年と1990年と2度自殺を試みていたという。躁鬱病でリタリンという薬を処方され、また、アルコール依存症にもなっていた。リハビリも何度か試したが、依存症から完全に抜け出ることはできなかった。彼女自身の心の問題は、ずっと公にはされず、秘密にされていた。しかし、彼女はステージでは明るく振舞い、オーディエンスにはこれっぽっちもそうした影の闇の部分を見せることはなかった。

リタリンは最近、急速に注目集めている薬で、抗躁鬱などに処方されるが、一時的な幸福感を得られ、また中毒性があることから、ドラッグ代わりになり始め、大きな社会問題となっているもの。特に副作用が強く、それによって自殺に至るケースが報告されている。もっとも10年以上前まではそこまでの研究はなされていなかった。

(奇しくも毎日新聞が「リタリン」問題を追及中)

<薬物依存症>「リタリン」で急増 医師の安易処方が原因か (毎日新聞)
http://news.www.infoseek.co.jp/topics/society/n_ritalin__20070919_1/story/18mainichiF0918m112/

<リタリン>大量処方で幻覚 25歳男性自ら命絶つ 名古屋 (毎日新聞)
http://news.www.infoseek.co.jp/topics/society/n_ritalin__20070919_1/story/18mainichiF0918m113/

著者であるマイケル自身にも躁鬱病の症状があり、フィリスのストーリーをリサーチしていくにつれ、彼女の物語から多くを学ぶことになったという。「彼女は自分の人生を自らの手で断ち切った。だが、僕自身がこうしてしっかり自分の人生を生きているのは彼女の(ことから多くを学んだ)おかげだと言いたい」

取材によれば、フィリスの両親のうち父親はアルコール依存症、母親も躁鬱、また2人の兄弟も躁鬱気味だったという。したがってフィリスの誕生から、彼女には悲劇のヒロインへの道が用意されていたのかもしれない。その人物にクリエイティヴな才能があり、性格が繊細であればあるほど、さまざまなことに落ち込み、憂鬱になるのだろう。

幼少時代、成長する時代、大人になってからのアルコールとドラッグ漬けの時代。また、映画『カラー・パープル』のオーディションでシュグ・エイヴリー役(主役ウーピー・ゴールドバーグの夫の愛人で歌手=マーガレット・エイヴリーが演じた)を取れなかったときの落胆、彼女が所属していたアリスタ・レコード社長クライヴ・デイヴィスとの衝突、その頃人気だった女性アーティストたち、ジョディー・ワトリー、ヴァニティー、ポーラ・アブドゥールらについてのコメントなども収録されている。

まさに、苦悩の人生を歩んできたフィリス・ハイマンのストーリーは、ソウル・サーチンの連続だったにちがいない。

■著作のオフィシャル・ウェッブ(英語版)
http://www.phyllishymanstory.com/
(ここから買えます)

■フィリス・ハイマン 『ユー・ノウ・ハウ・トゥ・ラヴ・ミー 』

ユー・ノウ・ハウ・トゥ・ラヴ・ミー
フィリス・ハイマン
BMG JAPAN (1999/09/22)
売り上げランキング: 50018

ENT>MUSIC>ARTIST>Hyman, Phyllis
ENT>MUSIC>BOOK>Hyman, Phyllis


投稿者 吉岡正晴 : 12:18 AM | コメント (0)

July 16, 2006

"All About Soul Disco Dance": Book Is Released

[ ENT>BOOKS]

【ソウル・ステップ・ダンスの踊り方教則本・発売】

集大成。

これまでに日本のディスコで踊られてきたさまざまなステップ・ダンスの踊り方などを詳細な図解で紹介した本が2006年7月2日発売された。タイトルは、『All About Soul Disco Dance・ソウル・ディスコ・ダンスのすべて』(ドン勝本著=メディア・ミル~星雲社=1905円+税)。

勝本氏は、70年代初期から多くのディスコの運営をし、またさまざまなステップをニック岡井氏らとともに、開発、広めてきた。この本では、日本でよく踊られるさままざなステップを網羅し、足や手の動かし方などを図解と分解写真で踊り方を紹介している。またそのステップを踊るのに適した楽曲の一覧表もある。

例えば「ファンキー・ウォーク」、「ポップコーン」、「バスストップ」、「ゲット・レディー」などのステップに適した曲は何かなどがすぐわかる。

他に、ソウル・ディスコ・ダンスの歴史なども紹介されている。また、この本には踊り方を示したDVDも添付されていて、イラストなどでわかりにくい部分も、この実際に動く映像でよくわかるようになっている。ソウル・ダンスの集大成のような本だ。

全国の書店、ソウルバーなどで発売中。ソウル・ステップを覚えたい人には便利な一冊。

(ドン勝本氏、7月30日の『ソウル・ブレンズ』内「ソウル・サーチン」のコーナーにゲスト出演します)

ENT>BOOKS>All About Soul Disco Dance

投稿者 吉岡正晴 : 03:41 AM | コメント (0)