November 06, 2008

Babyface(Part 2): "Great Song Story" : "Fire & Rain" (By Babyface & James Taylor)

[ ENT>MUSIC>SONG]

【グレイト・ソング・ストーリー:「ファイアー&レイン」】

火雨。

今週、六本木「ビルボード・ライヴ」でライヴを行っているベイビーフェイスがアルバム『プレイリスト』でカヴァーした白人シンガー・ソングライター、ジェームス・テイラー作の「ファイアー&レイン」。ジェームスの1970年2月発売の2枚目アルバム『スイート・ベイビー・ジェームス』に収録されシングルとしてもヒットした。この作品の誕生秘話。(ベイビーフェイスのライヴ評、セットリストなどは、昨日付けブログで)

ベイビーフェイスのライヴで、キーボード奏者のグレッグ・フィリンゲーンズがシンガーから聞いた話としてこんなことを言った。「ジェームスのガール・フレンドがジェームスに会いに行くとき、その飛行機が墜落してしまった。そのことを描いた曲だ」といったことを言うと、ベイビーフェイスが「それは違うんだ」と受けた。へえ~と思い調べてみた。すると~~いろいろわかった。

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『ファイアー&レイン』(訳詞・ソウル・サーチャー)

ほんの昨日の朝、友達が教えてくれた。君が死んだことを
スザンヌ、彼らの計画が君の人生を終わらせた(みたいだね)
今朝、散歩に出て、この曲を書いた
誰に向けて書いたのかまだ思い出せない

燃え盛る火、降り注ぐ雨、
決して曇ることない晴れた日々、
たった一人の友達さえいない孤独の日々
そんな明暗の日々があっても、ずっとまた君と会えると思っていた (冒頭のみ)

(註、ジェームスのヴァージョンは、スザンヌとなっているが、ベイビーフェイスのヴァージョンはここをlooks like=みたいだね=に変えている)

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解釈。

ジェームス・テイラーはこの曲について、いくつかのヴァージョンの話をしている。イギリスのBBC(放送)に語ったインタヴューでは、この作品は彼自身の精神的鬱(うつ)と友人の自殺について書いたものだという。別のVH1のインタヴューでは彼の友人スザンヌ・シュナーについて書いたものだという。スザンヌはジェームスがロードで出ていたときに、突然他界した。ほぼ同じ時期ジェームスは当時自分がいたバンド「ザ・フライング・マシーン」が成功しなかったことに、大きく落ち込んでいた。「甘い夢とフライング・マシンは、地上で粉々になっている」

彼自身どうしていいかわからない混迷の時期に、彼はスザンヌの死を知らされる。そこで人生、命のはかなさを知り、古い友人の元へ戻る。またこの時期、ジェームスはドラッグ問題も抱えていた。

さらに、2005年のNPRへのインタヴューで、ジェームス・テイラーは楽曲は3つのパートに分かれていると説明する。

1番は、ジェームスがロンドンのアップル・レコード(ビートルズのレコード会社)と契約し、レコーディングをしているときに、スザンヌが死んだことを描いている。友人たちはせっかくのいいチャンスを台無しにしてはいけないということで、ジェームスにショックを与えないために、スザンヌの死をしばらく隠していた。また、スザンヌは友人で、ガール・フレンドではないという。

2番はジェームスのドラッグとの戦い。

3番は、彼が有名になり富を得るまでの下積みの時代。そして、彼のリハビリ時期のこと。

そして、それまでに言われてきたこの曲にまつわる噂が次のようなものだ。「ジェームスは自分の誕生日にどこかの地方都市でライヴの予定があった。仲間がガール・フレンドのスザンヌをその地へサプライズで行かせようと航空券をプレゼントした。ところが不幸にもその飛行機が激しい雨のために離陸直後墜落、スザンヌが死亡。それを知ったジェームス・テイラーはそのことを『ファイアー・アンド・レイン』として書いた。火と雨は、飛行機が燃えてる火、雨はその日の激しい雨を指す」 だが、ジェームス・テイラー本人はこの噂を否定している。

グレッグが話したのは、この噂話の部分だ。実際は、NPRへのインタヴュー内容が近いようだ。ローリング・ストーン誌でのインタヴューもほぼこれに沿った感じになっている。そこで、これがジェームスが否定しているのを知っているのか、ベイビーフェイスもこの話を否定した。

「火と雨」、そして、「太陽=晴れた日」の対比が実にうまい。つらい時も、厳しい時も、楽しい時もあった。でも、いつでも、君に会いたい、メインのメッセージはここにある。そして、その付随説明をする部分にジェームス・テイラーの詳細な自伝的エピソードが散りばめられている。いくつもの説や解釈があるにせよ、この曲がジェームス・テイラーの自伝的作品のひとつであることは間違いない。

それにしても、この曲を左利きのベイビーフェイスがギターを弾きながら歌うところがユニークだ。そして、この曲に興味を持たせてくれたベイビーフェイスとグレッグ・フィリンゲーンズに改めて感謝。

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Fire & Rain (written by James Taylor)

(1番)
Just yesterday morning they let me know you were gone
Susanne[looks like] the plans they made put an end to you
I walked out this morning and I wrote down this song
I just can't remember who to send it to

I've seen fire and I've seen rain
I've seen sunny days that I thought would never end
I've seen lonely times when I could not find a friend
But I always thought that I'd see you again

(2番)
Won't you look down upon me, Jesus
You've got to help me make a stand
You've just got to see me through another day
My body's aching and my time is at hand
And I won't make it any other way

Oh, I've seen fire and I've seen rain
I've seen sunny days that I thought would never end
I've seen lonely times when I could not find a friend
But I always thought that I'd see you again

(3番)
Been walking my mind to an easy time my back turned towards the sun
Lord knows when the cold wind blows it'll turn your head around
Well, there's hours of time on the telephone line to talk about things to come
Sweet dreams and flying machines in pieces on the ground

Oh, I've seen fire and I've seen rain
I've seen sunny days that I thought would never end
I've seen lonely times when I could not find a friend
But I always thought that I'd see you, baby, one more time again, now

(4番)
Thought I'd see you one more time again
There's just a few things coming my way this time around, now
Thought I'd see you, thought I'd see you fire and rain, now

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■過去グレイト・ソング・ストーリー (楽曲にスポットをあてた記事)

2004/03/22 (Mon)
"New York State Of Mind"
http://www.soulsearchin.com/entertainment/music/song/diary20040322-1.html
「ニューヨーク・ステイト・オブ・マインド」(ビリー・ジョエル)

2004/03/18 (Thu)
"Golden Lady"
http://www.soulsearchin.com/entertainment/music/song/diary20040318-1.html
「ゴールデン・レイディー」(スティーヴィー・ワンダー)

2003/06/21 (Sat)
Dance With My Father:
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200306/diary20030621.html
「ダンス・ウィズ・マイ・ファーザー」(ルーサー・ヴァンドロス)

2004/05/03 (Mon)
American Pie
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200405/diary20040503.html
「アメリカン・パイ」(ドン・マクリーン)

2003/08/16 (Sat)
Sunny: Bobby Hebb
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200308/diary20030816.html
「サニー」(ボビー・ヘブ)

August 03, 2007
Ron Miller: Great Poet (Part 2) - The Meaning Of "I've Never Been To Me"
http://blog.soulsearchin.com/archives/2007_08_03.html
「アイヴ・ネヴァー・ビーン・トゥ・ミー(愛はかげろうのように)」(シャーリーン)

August 02, 2007
Ron Miller: Great Poet (Part 1)
http://blog.soulsearchin.com/archives/2007_08_02.html
「ヘヴン・ヘルプ・アス・オール」(スティーヴィー・ワンダー)

July 20, 2007
"Fortunate Son" Story (Part 1): "Die Hard 4.0" Saga Continues 
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200707/2007_07_20.html
「フォーチュネイト・サン」(CCR)

July 21, 2007
"Fortunate Son" Story (Part 2): "Die Hard 4.0" Saga Continues 
http://blog.soulsearchin.com/archives/2007_07_21.html
「フォーチュネイト・サン」(CCR)

November 10, 2006
The World Of Linda Creed: Portrays The Blackness
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200611/2006_11_10.html
リンダ・クリード作品 「チルドレン・オブ・ザ・ナイト」(スタイリスティックス)、「ゲットー・チャイルド」(スピナーズ)

September 29, 2006
"Guess Who I Saw Today" Is Nancy Wilson's Signature Song
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200609/2006_09_29.html
「ゲス・フー・アイ・ソウ・トゥデイ」(ナンシー・ウィルソン、シャンテ・ムーア&ケニー・ラティモア)

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ENT>SONG>Fire & Rain
ENT>GREAT SONG STORY>Fire & Rain
ENT>ARTIST>Babyface


投稿者 吉岡正晴 : 01:48 AM | コメント (0)

June 07, 2008

“Through The Fire” Is Chaka Khan’s Soul Searchin’ Song

[ ENT>MUSIC>SONG]

【シャカ・カーン(チャカ・カーン)、多くの修羅場をくぐりぬけて】

修羅場。

まさに旋風を巻き起こしている感のあるビルボード・ライヴでのシャカ・カーン(チャカ・カーン)のライヴだが、多くのおなじみのヒット曲の中でイントロが始まるととびきり歓声があがる曲がある。そう、「スルー・ザ・ファイアー」だ。メロディアスな日本人受けするデイヴィッド・フォスター作品だが、これを歌う前に、シャカは、一言二言コメントした。

「今まで、修羅場をくぐってきたことがある人、いる?」 たぶん、バックのバンドが少さく音を流しながら話したために、英語が聞き取れなかったのだろう。彼女の問いかけはあまり伝わらなかった感じはあった。「修羅場」は、もちろん意訳だ。直訳では「あなたは、今まで火の中を通ったことある?」だ。「私は随分と火をくぐりぬけてきた。(修羅場を通ってきたわ)。でも、神様はみんなのことを愛してるのよ」 そして、ギターのイントロへ。その瞬間、客席から大歓声。

シャカ・カーンの歴史は修羅場の連続だったのかもしれない。シカゴの男ばかりのファンク・バンド、ルーファスに入った。1970年代初期、男性バンドに女性1人というのは、珍しかった。シャカはまだ20歳にもなっていなかった。当然、メンバーからは軽くあしらわれ、とてもきちんとリスペクトされてはこなかった。意見を言えば、女のくせに、若いくせに、と言ったことでないがしろにされメンバーとはしばしばぶつかった。そのころ大体音楽業界に限らず、どこでも男性社会だった。

アレサが歌う「リスペクト」(少しは女性に対してリスペクトの念を見せなさいよ、という歌)が、多くの女性のアンセムになったが、シャカにとっても「リスペクト」は希望の星だった。

そんなシャカはリード・シンガーとしてどんどんと力をつけ、人気も高まる。すると今度はそれはそれで、彼女だけにスポットが当たることをメンバーが嫉妬しねたんだりするようになる。やっとの思いでソロ活動を始めるも、その成功にこんどはシャカが入ったほうがレコードが売れるということで、グループへの復帰を望まれる。グループ、ソロ、グループ、ソロと彼女の立ち位置はリヴォルヴィング・ドアのように回り人生は翻弄される。彼女の思うようにはならない。

そうしたことをさせるマネージメントとともうまくいかなかった。子供も設けたが、その父親ともうまくいかなかった。1980年代初期から後期はそんなこともあって、かなり荒れ、酒におぼれることもあった。彼女のライヴ・パフォーマンスは彼女のそのときの精神状態を如実に表すために、ライヴは良いときも、悪いときもあった。図らずも、ライヴは彼女の人生のその瞬間のバロメーターになった。

もちろん、1970年代から1980年代にかけて音楽的には素晴らしい作品を残してきた。アリフ・マーディン、クインシー・ジョーンズら素晴らしきプロデューサーたちの厳しいガイダンスのもと、質の高いアルバムや楽曲が作られた。ファンク・バンドの一シンガーがジャズにも挑戦し、それがまた高い評価を得た。

1990年代に入り、少し状況が変わった。新しいマネージメント、新しいボーイフレンド。一時期彼女は新しいボーイフレンドとともにドイツに移り住んだ。ぎすぎすしたアメリカとは違ったフレンドリーなヨーロッパの空気は彼女に新たな命を与えた。嬉しいニュースも生まれた。40代で「おばあちゃん」になったのだ。

だが皮肉なもので、私生活の安定した充実とは裏腹に、2000年代に入ると、彼女のレコード(CD)作品はメジャー・レーベルからリリースされなくなる。しかし、レコードが出なくとも、彼女はシンガーとしてそれまでになく尊敬され、多くの若手から慕われ、崇められるようになる。が、かつてのようなヒット曲は生まれなくなった。

2004年、再び事件は起きる。息子のダミアン・ホランドが銃で友人を誤って殺してしまいその損害賠償(約130万ドル=約1億3千万円=現在裁判中)の責任を負ってしまったのだ。(だから彼女はたくさん仕事をして、お金を稼がなくてはならないのかもしれない。だから、ギャラが高くて、チケット代が高いのかもしれない(笑))

彼女は過去35年以上、「炎の中をかけぬけて(through the fire)」人生を生きてきたのだ。シャカは、多くの修羅場をくぐり抜け、嫌なこともたくさん我慢し、自身が成長し、なぜ自分にこんな不幸が起こるのか自問自答し、日々ソウル・サーチンし、今、今日の日を迎えている。

だから、彼女がこの「スルー・ザ・ファイアー」を歌うとき、そこに彼女が自身の人生を投影し、ありったけの魂を込めて歌ったとしてもなんらおかしくない。ときにはこれを歌いながら、自身の人生における修羅場の一場面が走馬灯して涙する瞬間もあるかもしれない。この曲が1984年にレコーディングされたときから、すでに24年が経っている。2008年ライヴで聴く「スルー・ザ・ファイアー」は、CDからわれわれが聞ける「スルー・ザ・ファイアー」よりも24年の重みが加わっているのだ。だから、シャカのかつてのオウラの何倍もの強力なオウラが今そこで見事な光を放つのである。そして、会場でこの強力なオウラに満ち溢れた「スルー・ザ・ファイアー」が歌われると、観客に歓喜にも似た涙が訳もなくあふれ出るわけだ。

彼女は「スルー・ザ・ファイアー」の後半で「ハレル~~ヤ」「アイ・サンキュー」と声を張り上げる。これもまさにゴスペルだ。

「限界の限界まで火をくぐりぬけて、
あなたとともに生きることに賭けるわ
あらゆるリスクを負いましょう
何が起ころうと、何がどうなろうと
あなたを愛するためなら、
どこまでも行くわ
最後の最後までどんな火の中でもかけ抜けていくわ」
(「スルー・ザ・ファイアー」)

火を駈け抜けて、素晴らしき人生を進め、シャカ・カーン!
火を駈け抜けて、素晴らしき人生を切り開け、シャカ・カーン!
火を駈け抜けて、素晴らしき人生に火を灯せ、シャカ・カーン!

■ 「スルー・ザ・ファイアー」収録の『フィール・フォー・ユー』

フィール・フォー・ユー
チャカ・カーン
ダブリューイーエー・ジャパン (1997-02-25)
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■ 関連記事

June 03, 2008
Chaka Khan Live @ Hi Energy Performance
http://blog.soulsearchin.com/archives/002552.html
2008年6月2日(月)ビルボード・ライヴのライヴ評

2003/10/11 (Sat)
Chaka Khan Live @ Budoukan: One & Only Voice Still Shines
http://www.soulsearchin.com/entertainment/music/live/diary20031011.html
(前回来日ライヴ評)

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Through The Fire (written by David Foster, Tom Keane and Cynthia Weil)

I look in your eyes and I can see
We’ve loved so dangerously
You’re not trusting your heart to anyone
You tell me you’re gonna play it smart
We’re through before we start
But I believe that we’ve only just begun

When it’s this good, there’s no saying no
I want you so, I’m ready to go

Chorus:

Through the fire
To the limit, to the wall
For a chance to be with you
I’d gladly risk it all
Through the fire
Through whatever, come what may
For a chance at loving you
I’d take it all the way
Right down to the wire
Even through the fire

I know you’re afraid of what you feel
You still need time to heal
And I can help if you’ll only let me try
You touch me and something in me knew
What I could have with you
Well I’m not ready to kiss that dream goodbye

When it’s this sweet, there’s no saying no
I need you so, I’m ready to go

Chorus

Through the test of time

Chorus

Through the fire, to the limit
Through the fire, through whatever
Through the fire, to the limit
Through the fire, through whatever

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ENT>MUSIC>LIVE>Khan, Chaka
ENT>MUSIC>ARTIST>Khan, Chaka
ENT>MUSIC>SONG>Through The Fire


投稿者 吉岡正晴 : 05:58 AM | コメント (0)

May 25, 2008

Studying In Funk All Stars

[ ENT>MUSIC>SONG]

【ファンク・オール・スターズの演じた5曲を調査】

勉強。

昨日、フレッド・ウェスリーたちが83分で演奏したのは、たった5曲。しかし、その中でわかったのは、3曲目のみ。それもメロディーが「ああ、これこれ、なんだっけ」っていう感じで、もぞもぞしながら、横に座っていた湘南ビーチFMのDJ人見氏に聞くと、「イン・ア・センチメンタル・ムード」とタイトルを言われ、「ああー。それそれ」という感じでわかったというもの。

しかし、昨日のブログで書いたように、フレッド・ウェスリー本人に尋ねてわかった5曲は、いずれも、ジャズ界ではスタンダードというか、一般常識的な作品ばかりであった。

せっかくだから、その調査報告を。「わからなければ、調べる」「調べたら、すぐ書く」をモットーに行きます。(笑) 「受け売り」もはやいよ。「受け」たら、すぐ「売る」。5分前に初めて聞いた話を、太古の昔(×)、太古(○)から知っているかのように話す。

さて、「リトル・サンフラワー」は、1938年生まれのジャズ・トランペッター、フレディー・ハバードの1966年の傑作アルバム『バックラッシュ』に収録されている作品。多数のカヴァー・ヴァージョンがある。このアルバムは、彼のアトランティックに移籍しての第1弾。

続く2曲目は、1935年生まれのジャズ・オルガン奏者、ルーベン・ウィルソンの1969年のアルバム『ブルー・モード』からの1曲。このアルバムでは、ジャズとメンフィス・ファンク、あるいはR&Bを融合しようとし、エディー・フロイドの「ノック・オン・ウッド」や、デトロイトのエドウィン・スターの大ヒット「25マイルス」をカヴァーしたりしている。

3曲目はデューク・エリントン作の1935年の超有名スタンダード作品。

4曲目はアン・ロネールという1930年代に活躍した、当時としてはひじょうに珍しい女性シンガー・ソングライターの代表曲。彼女は初めてのディズニーのヒット曲のひとつ「ヴァージニア・ウルフなんかこわくない」も共作している人。ハリウッドとティン・パン・アレーで最初に成功した女性ソングライターのひとりだそうだ。この曲は1932年にポール・ホワイトマン・オーケストラでヒットし、その後、エラ・フィッツジェラルド、ウェス・モンゴメリー、フランク・シナトラ、ビリー・ホリデイなど錚々たるシンガーたちが録音している。その後1964年にイギリスのデュオ、チャッド&ジェレミーがカヴァー、ヒットさせた。

ロネールはこの曲を、彼女に音楽業界での機会を広げてくれた大作曲家ジョージ・ガーシュウィンに捧げて書いたという。ロネールは大学時代、大学新聞のライターとしてジョージ・ガーシュウィンにインタヴューをしたことがきっかけで、彼に気に入られ、リハーサル・ピアニストの仕事をもらったという。そこから人脈が広がり、さまざまな音楽関係の仕事に就くことになった。まさに「ご縁」があったわけだ。そして、そのジョージに捧げたのが、これ。前述、人見氏によれば、この曲の邦題は、「柳よ泣いておくれ」。

クリフォード・ブラウンは、1956年、わずか25歳で非業の交通事故死を遂げるジャズ界に残る偉大なトランペッター。その彼の1955年のアルバム『スタディー・イン・ブラウン』収録曲。なんと1995年のフレッド・ウェスリーのアルバム『トゥ・サムワン』の1曲目を飾っていた。

というわけで、今日は、まさに『スタディー・イン・ファンク・オール・スターズ』でした。

Setlist : Funk All Stars @ Billboard, May 23, 2008

Show started 21:30
01. Little Sunflower [Freddie Hubbard – LP ”Backlash”- 1966]
02. Orange Peel [Ruben Wilson – LP”Blue Mode” – 1969]
03. In A Sentimental Mood [Duke Ellington – 1935]
04. Willow Weep For Me [Ann Ronell – 1932]
05. Sandu [Clifford Brown – LP “Study In Brown” – 1955]
Show ended 22:53

ENT>MUSIC>LIVE>Funk All Stars
ENT>MUSIC>SONGS


投稿者 吉岡正晴 : 04:03 AM | コメント (0)

April 22, 2008

“Kawaii Hito Yo” Will Be Covered By Martin, Korn, Noritake

[ ENT>MUSIC>SONG]

【「可愛いいひとよ」マーチンたちがカヴァー】

トリビュート。

日本の生んだディスコ・クラシックとして1970年代から現在にいたるまで、いまだに人気の高いクック・ニック&チャッキーの「可愛いいひとよ」が、カヴァーされる。ご存知の通り、これを歌う3人の1人、ニック岡井さんは、昨年(2007年11月11日)亡くなっており、カヴァーはニックさんへのトリビュートということになる。今回、カヴァーするのは、なんと日本のソウル・シーンで歌い続けるマーチンこと鈴木雅之、バブルガム・ブラザースのブラザー・コーン、そして、その2人をディスコ、ダンスの師とあおぐトンネルズの木梨憲武のトリオだ。

マーチンは、現在新作を準備中で、ここにはこれまで彼がレコーディングしてきたデュエット曲、コラボレート作品を集める。タイトルは『マティーニ・デュエット』になる予定で、6月末の発売予定。菊池桃子とのデュエット「渋谷で5時」さらにその続編となる新録曲「恋のフライトタイム~12PM」、「ロンリー・チャップリン」、「エンドレス・ラヴ」、「シーズ・マイ・ガール」(エナメル・ブラザース)などが収録される。

「可愛いいひとよ」のアーティスト名は、コック・マック&ノッキー。コックがブラザー・コーン、マックがマーチン、ノッキーが木梨憲武だ。この曲に関しては、それぞれが思い入れをもっている。マーチンもよくディスコに通っていた時代、ステップあるところに必ずこの曲が流れ踊っていた。特に、この3人の中ではコックことブラザー・コーンは、新宿ゲット時代からのニックの大ファン。ニックをダンスの師匠と崇め、崇拝している。そしてそんなコーンに連れられて日夜ディスコに通い詰めていたのが木梨憲武だった。

この新ヴァージョンの「可愛いいひとよ」では、単にカヴァーするだけでなく、いろいろなソウル・ヒットの数々がちりばめられていて、ソウル・ファンなら思わずにやりとしてしまうようなものになっている。

マーチンのデュエット・アルバムには何曲か新録による作品が収録されるが、これもその1曲。今年も9月に『ソウル・サミット』が行われることになっており、そこでこの「可愛いいひとよ」が歌われることになりそうだ。

オリジナルの「可愛いいひとよ」は1972年に最初のシングルがリリースされた。その後、ジャケットを変えて何度かリリースされているが、1973年以降、全国のディスコでこの曲の振り付けがついて、人気となった。海外のソウル、ディスコ作品がかかっていた日本のディスコでプレイされていたほんの数曲の日本語曲のひとつ。もちろんオリジナルの振り付けはニックが担当していた。そして、作詞は誰あろう阿久悠、作曲は大野克夫という名コンビ。これまでにドン勝本らのキング・オブ・ソウルのほか、山瀬まみ、レイジー 、時東ぁみ、ホワッツ・ラヴ(What’s Love?)などもカヴァーしている。

なお、この楽曲の表記だが、当初は「可愛いひとよ」だったが、第二版から「可愛いいひとよ」と、「い」が二文字に表記されるようになった。本来は誤記だが、「かわいい」の音を優先したためらしい。当時のレコード会社にはよくありがちなミスというところが愛嬌だ。

アルバムがリリースされる6月以降、ニックの誕生日(9月29日)、命日(11月11日)へ向けて、「可愛いいひとよ」が盛り上がれば、ニックへのいい供養になりそうだ。

ENT>MUSIC>SONG


投稿者 吉岡正晴 : 04:34 AM | コメント (0)

August 03, 2007

Ron Miller: Great Poet (Part 2) - The Meaning Of "I've Never Been To Me"

[ ENT>MUSIC>SONG]

【ロン・ミラー作品~「愛はかげろうのように」の意味】

自分。

この曲の歌詞を書いたのはロン・ミラー、彼はこれを書いたとき、シャーリーンと付き合っていたという。レコーディングした後、別れ、その後シャーリーンは別の男性と結婚。さらに離婚、また結婚している。

途中で歌われる「アンボーン・チャイルド(生まれなかったこども)」は、当時ちょっとした論議をまきおこした。歌の主人公はこの子を中絶したのか否か。これは、微妙だが、作者たちは中絶したのではなく、単純に生まれなかったというつもりだったらしい。

ソウル・サーチャーは、この歌で歌われる「パラダイス」を今風に「セレブな生活、人生」と意訳してみた。物質社会、マテリアル・ワールドと同意だ。

今、子育てに忙しく、夫にも不満たらたらな若い女性に向かって、この年配の女性は語りかける。

どんなにぜいたくな生活をし、いいものに囲まれても、決して自分自身が居心地がよかったことはなかった。本当の自分は探せなかった。それをあなたに伝えたい。ある意味で、自分探しのテーマと言えるかもしれない。

結婚式では使わないでね。(笑) 訳詞は、叶姉妹に捧げるヴァージョンでおおくりしよう。

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"I've Never Been To Me" 
「愛はかげろうのように」(叶姉妹に捧げる・ヴァージョン)
歌:シャーリーン
作詞:ロン・ミラー 作曲:ケン・ハーシュ

ねえ、あなた、あなたはいつも不満たらたらで、ちゃんとした母親ではないって自分の人生を呪ってるわね

あなたは決して手に入れられないものを欲しがってるんでしょう

でもね、私が今、あなたにこうしてアドヴァイスしているように、昔、誰かが私にアドヴァイスをしてくれればよかったのにって思ってるの

ジョージアにも行った、カリフォルニアにも行った、行きたいところは世界中どこでも旅した

牧師の手を取り、太陽の下で愛し合ったこともある

でも、もう行くところも尽きたし、やさしい友達からも逃げ出したいと思った 

なぜなら、私自身自由になりたいと願ったから
私は、夢のようなセレブな人生を送ってきた
でも、決して本当の自分を見つけることはできなかった

ねえ、あなた、行かないで最後まで話を聴いて
なぜ私が今だに独り身でいるか教えてあげたいの

あなたの瞳にかつての私を重ねてしまうから
幾千もの嘘で涙に濡れた心をあなたに教えたい

ニースにも行った、ギリシャの小島にも行った
シャンペーン片手に地中海でのヨット・クルーズもした
モンテカルロではジーン・ハーロー(1930年代に活躍したセクシー女優)気取りで、自分の容姿をみんなに見せびらかしたわ
そのおかげで王様たちと寝て、とても普通の女性が見られないような世界も目撃した
私は夢のようなセレブな人生を送ってきた、でも、決して本当の私自身を見出すことはなかった

(語り)
ねえ、セレブな人生(パラダイス)ってなんだと思う?

それはね、すべて嘘で固められた世界なの。人々に求める幻想であり、こうなればいいと思う場所もまた幻想(お金持ちという人種も幻想なら、豪邸もまた幻想)

じゃあ、真実はどこにあると思う?
それはね、今あなたが抱いている小さなベイビーであり、今朝ちょっとした言い争いをした夫だったりするのよ
そんな夫と今夜も愛しあう、それが真実、それが愛なのよ 
(語りここまで)

生まなかった子供のことを思って泣いたこともある
もしその子が生まれていれば、私の人生も完璧なものになっていたかもしれない
でも、私は甘美な人生を選んだのよ
そのときは、そんな甘い人生がほろ苦くなるなんて夢にも思わなかったわ
私は、ちょっとずる賢く体を売ってセレブな人生を送ってきた
でも、そのおかげで自由になるためには、ずいぶんと回り道をしてしまった

ねえ、あなた、私はいやというほどセレブな人生を送ってきた、それは贅沢で豪華絢爛な人生だった
でも、一度たりとも決して本当の私自身を見出すことはできなかった
本当は自分がどう生きたかったのか決してわからなかった

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ENT>MUSIC>SONGS>Heaven Help Us All
ENT>MUSIC>SONGWRITER>Miller, Ron


投稿者 吉岡正晴 : 12:10 AM | コメント (0)

August 02, 2007

Ron Miller: Great Poet (Part 1)

[ ENT>MUSIC>SONG]

【ロン・ミラー、偉大な詩人(パート1)】 

詩人。

去る2007年7月24日に74歳で死去したロン・ミラー。モータウン・レコード所属のソングライターとして多くの作品を世に送り出したが、彼の作品には歌詞にすぐれたものが多い。ロン・ミラーの生涯を追っているうちに、彼の作詞家としてのユニークさが浮かび上がってきた。いくつかを紹介してみたい。

July 25, 2007
Ron Miller Dies At 74
http://blog.soulsearchin.com/archives/001917.html

ロンの作品にはこんな歌詞がある。

Time has to take me but life will wake me
Whenever people feel the road's too long,
They'll need some music
And I want to come back as a song
(ウォルター・ジャクソン『I want to come back as a song』)

何事も目的がかなうまでは、時間がかかるものだ。しかし、いつか必ず人生の目覚し時計が私を起こしてくれるだろう
人生の旅路が長く感じられるとき、人々は音楽を求める
そんなとき、私は「歌」となって人々の前に生まれ変わりたい

ロン・ミラーはかねてからソングライターという仕事が気に入っていたようで、この「歌となって生まれ変わりたい」というフレーズは彼のソングライターとしての立場をよく表している。

また、スティーヴィーが歌いヒットした「ヘヴン・ヘルプ・アス・オール」。これは、歌詞をしっかり読むと完璧なゴスペルソングだ。スティーヴィー以外にも、レイ・チャールズ、ドロシー・ノーウッド、パースエージョンズ、デイヴィッド・ラッフィンなども録音している。

Heaven Help Us All
Ron Miller:
訳詞: ソウル・サーチャー


Heaven help the child who never had a home,
神よ、家なき子を救いたまえ
Heaven help the girl who walks the street alone
神よ、一人、街を彷徨う少女を救いたまえ
Heaven help the roses if the bombs begin to fall,
神よ、空から爆弾が降り始めたら、地上の薔薇を守りたまえ
Heaven help us all.
神よ、われら人類すべてを救いたまえ

Heaven help the black man if he struggles one more day,
神よ、もう一日苦しみもがいてがんばろうとしている黒人がいれば、救いたまえ
Heaven help the white man if he turns his back away,
神よ、もし背を向けようとしている白人がいれば、救いたまえ
Heaven help the man who kicks the man who has to crawl,
神よ、地を這って懸命に生きようとしている男を足蹴にするような男さえも救いたまえ
Heaven help us all.
神よ、われら人間すべてを救いたまえ

Heaven help us all, heaven help us all, help us all.
神よ、われら人間すべてを救いたまえ
Heaven help us, Lord, hear our call when we call
神よ、われらが神に助けを求め、叫ぶとき、その叫びを聴きたまえ
Oh, yeah!

Heaven help the boy who won't reach twenty-one,
神よ、21歳まで生き延びられないような不幸な少年を救いたまえ
Heaven help the man who gave that boy a gun.
神よ、そんな少年に拳銃を渡してしまうような大人も救いたまえ
Heaven help the people with their backs against the wall,
神よ、窮地に陥った人々を救いたまえ
Lord, Heaven help us all.
おお、神様、われら人間すべてを救いたまえ

Heaven help us all, heaven help us all, heaven help us all, help us all.
Heaven help us, Lord, hear our call when we call.

Now I lay me down before I go to sleep.
眠りにつく前に、私を体を横たえる
In a troubled world, I pray the Lord to keep, keep hatred from the mighty,
And the mighty from the small,
この混迷の世界で、神に憎しみが生まれないように、ひたすら祈る。小さな世界の偉大な神よ
Heaven help us all.
神よ、人類すべてを救いたまえ
Oh, oh, oh, yeah!
Heaven help us all.

完璧にゴスペルだ。多くのゴスペルシンガーのカヴァーが生まれるのも納得がいく。ロン・ミラーの傑作のひとつだ。

明日は、同じロン・ミラーが作りシャーリーンが歌って世界的大ヒットとなった「アイヴ・ネヴァー・ビーン・トゥ・ミー(愛はかげろうのように)」を紹介する。メロディアスな作品で、日本でもCMに使われたりして人気だが、この歌詞はなかなか意味深な内容がある。

(この項つづく)

ENT>MUSIC>SONGS>Heaven Help Us All
ENT>MUSIC>SONGWRITER>Miller, Ron


投稿者 吉岡正晴 : 12:16 AM | コメント (0)

July 20, 2007

"Fortunate Son" Story (Part 1): "Die Hard 4.0" Saga Continues 

[ ENT>MOVIE>, ENT>MUSIC>ARTIST>, ENT>MUSIC>SONG]

(昨日の『ダイ・ハード4.0』からのつづき)

【「幸運な息子」(フォーチュネイト・サン)物語(パート1)】

反戦。

昨日『ダイ・ハード4.0』のエンディングで、CCR(クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル)の「フォーチュネイト・サン」がかかったのを機に、彼らのベストCDをひっぱりだして聴いた。

そのCCRは、1960年代後期のまさにアメリカの気分を表現していたグループだ。ヒッピー発祥の地、サンフランシスコを本拠に活躍したが、音楽的にはアメリカ南部のスワンプ・ロック、黒人のブルーズ、ソウルなどの影響を多大に受けていた。

その頃のヒッピーは、反戦、反体制が主流で、クリーデンスもそうしたヒッピー、反体制のスピリットを持った作品を多くだした。この「フォーチュネイト・サン」も反戦歌的側面をもつし、彼らの大ヒット曲「ハヴ・ユー・エヴァー・シーン・ザ・レイン(邦題、雨をみたかい)」は、ヴェトナム戦争への明らかな反戦歌だった。

この「フォーチュネイト・サン」は、これまでにもいくつかの映画で使われていた。たとえば、『フォーレスト・ガンプ』で、またワイクリフ・ジーンのカヴァー・ヴァージョンが映画『マンチュリアン・キャンディデート』でも使われている。

カヴァーも、ワイクリフ・ジーン以外にも、ボブ・シーガー、パール・ジャム、U2、.38スペシャル、ブルース・スプリングスティーンなどが歌っている。

さて、「フォーチュネイト・サン(幸運な息子、恵まれた息子)」について調べてみると、けっこうおもしろかったのでご紹介したい。

この「幸運な息子」とは、1969年当時戦争が激しさを増して、全米の若者たちが次々徴兵されていたときに、有力政治家の息子や金持ち、権力者の息子たちはコネによって、徴兵を免れたり、徴兵されても前線ではなく比較的安全な場所に配属されるよう裏で話をつけられていたことについて歌っている。

曲の作者であり、クリーデンスのリード・シンガー、ジョン・フォガティーはこの曲のモデルをアイゼンハワー大統領(第34代)の孫、デイヴィッド・アイゼンハワーのことを想定して書いたという。そのデイヴィッドは1968年12月、リチャード・ニクソン大統領(第38代)の娘ジュリー・ニクソンと結婚した。デイヴィッドは、そうした特権を利用していわゆるネイヴィー・リザーヴ(予備兵役軍)という前線ではなく比較的安全な職務についた。

この曲自体は、もともと徴兵される男の目線で書かれたもの。そして、ヴェトナム戦争反対の立場でもある。しかし、すでに前線に行った兵士たちには士気を上げ、がんばるよう応援の意味がある。結局は国会議員の息子ではないために、戦場に送られてしまった不運な男の視点での歌になっている。

(この項、明日へ続く。明日のブログでは『フォーチュネイト・サン』の訳詞をお送りします)

ENT>MUSIC>SONG>Fortunate Son
ENT>MUSIC>ARTIST>CCR
ENT>MOVIE>Die Hard 4.0

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投稿者 吉岡正晴 : 12:41 AM | コメント (0)

November 10, 2006

The World Of Linda Creed: Portrays The Blackness

[ ENT>MUSIC>SONG]

【リンダ・クリードの描くブラックの世界】

黒さ。

引き続き、リンダ・クリード・ネタで。彼女はきっとかなりのインテリで、しかも、ストリートの底辺の人たちの気持ちもよくわかっているのだろう。だからこそ、当時の黒人たちから支持された。

ここではスタイリスティックスの『ラウンド2』に収録されている「チルドレン・オブ・ザ・ゲットー」とスピナ-ズの『ニュー・アンド・インプルーヴド』に収められている「ゲットー・チャイルド」を選んで訳してみた。

当時はプロモーション・ビデオなんてものはなかったが、この歌詞を読むだけで、プロモ・ビデオの映像が想像できるではないか。それだけストーリー構成、描写がうまいということだ。歌詞から映像が浮き上がる詞というのはとても優れている。

「チルドレン・・・」は後に同じくフィラデルフィアのガール・グループ、ジョーンズ・ガールズがカヴァーする。この2曲とも、ものすごく「ブラックネス(黒さ)」が感じられる。他にも、「ベッチャ・バイ・ゴーリー・ワウ」なんか、もろブラックだ。

しばし、リンダ・クリードの描く世界をご堪能あれ。できれば、一緒にレコード(CD)でも聴きながら。

■スタイリスティックスのこの曲は、あまりベストなどに収録されていない。現在カタログに残っているのはスタイリスティックスの5枚組のCDだった。『ラウンド2』は在庫切れだが、12月には再発されるので、それをお待ちください。スピナーズは、「ベスト・オブ・スピナ-ズVOL.1』に収録。

スタイリスティックス『ラウンド2』

ラウンド2
ラウンド2
posted with amazlet on 06.11.10
ザ・スタイリスティックス
ビクターエンタテインメント (2006/12/16)

スピナ-ズ『ベスト、VOL.1』

ベスト・オブ・スピナーズ(1)
スピナーズ
イーストウエスト・ジャパン (1997/07/25)
売り上げランキング: 526363
おすすめ度の平均: 5.0
5 フィラデルフィアソウルといえばなにはなくともスピナーズ
5 フィラデルフィア・ソウルといえばスピナーズ


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Children Of The Night
(Thom Bell / Linda Creed)

チルドレン・オブ・ザ・ナイト

The Stylistics - 1972 アルバム『ラウンド2』
Also recorded by: The Jones Girls

夜遅く、世界が夢に包まれ心配事など何もないとき、
僕は歩道の影を歩く
深夜、僕のソウルが空っぽになり、寂しくなる

そんな時、僕は夜の闇へ向かう
たった一人で、僕と同じような寂しい人間に
出会うまでストリートを彷徨う
誰か、仲間がいないかと。

夜の申し子・・・

深夜、不安な気持ちが僕を襲う
どうにもならない
深夜、僕と似た人間にいて欲しい
この気持ちを理解して欲しい

再び僕は夜の闇を探しにでかける
たった一人で、同類に出会うまで、
あらゆるストリートを彷徨う
同じ仲間を探して

夜の申し子・・・

ナナナナ~

【訳詞=ザ・ソウル・サーチャー】

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Ghetto Child
(Thom Bell / Linda Creed)

Artist: Spinners
アルバム『ニュー・アンド・インプルーヴド』

17の時、家出した
それまでの全てから逃げ出した
僕は人生に疲れきっていた
憎しみと狭い心に溢れる都会に住むことにも
飽き飽きしていた


みんなが僕のことをあざ笑っていた

子供たちが僕を呼ぶ時、僕はどこかに逃げ隠れた
この世に生まれてきたことさえ恥じたものだ
僕は自分がやっていない罪で罰せられた
ついてない男だった

ゲットーに生まれると
人生は易しくない
ゲットーに育つと
人生は簡単ではない

僕のパパは考えられる限りそんなゲットー・ライフを
うまく切り抜けたってことを誰もわかっていない

子供は過ちから厳しい現実を知っていく
夢のようなおとぎ話は、金持ちだけに訪れる物語
今や、子供時代の夢はいまだに実現すると
思う振りをするだけ

あちこちの街を旅しながら僕は考える
一つの街に留まるのは、自分のスタイルじゃない
なぜゲットーの子供は、辱められ、いじめられ、
あざけり笑われなければならないのか
僕たちは、みな同じ人間なのに

ゲットーに生まれると
人生は易しくない (僕が証人さ)
ゲットーに育つと
人生は簡単ではない (オー、イエー)

ゲットーに生まれると
人生は易しくない (人生は荒れていく)
ゲットーに育つと
人生は簡単ではない (どんどん泥沼にはまっていく)

ゲットーに生まれると
人生は易しくない (何かを変えなければ)
ゲットーに育つと
人生は簡単ではない (何かを変えなければ)

【訳詞=ザ・ソウル・サーチャー】

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Children Of The Night
(Thom Bell / Linda Creed)
By The Stylistics
1972

Late at night
When all the world is safe within their dreams
I walk the shadows
Late at night
An empty feeling creeps within my soul
I feel so lonely

So I go into the darkness of the night
All alone I walk the streets until I find
Someone who is just like me
Looking for some company

Children of the night

Late at night
A restless feeling takes control of me
And I can’t fight it
Late at night
I feel the need for someone who like me
Needs understanding

So once again I’ll search the darkness of the night
All alone I’ll walk each street until I find
Someone who is just like me
Looking for some company, no, yeah, hea

Children of the night

So once again I’ll search the darkness of the night
All alone I’ll walk each street until I find
Someone who is just like me
Looking for some company, no, yeah, hea

Children of the night
Children of the night
Children of the night

Na, na, na, na, na, na, na, na
Na, na, na, na, na, na, na, na
Na, na, na, na, na, na, na
Na, na, na, na, na, na, na, na

Na, na, na, na, na, na, na, na
Na, na, na, na, na, na, na, na
Na, na, na, na, na, na, na
Na, na, na, na, na, na, na, na

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Ghetto Child
(Thom Bell / Linda Creed )
By The Spinners
1973

When I was 17
I ran away from home
And from everything
I had ever known
I was sick and tired
Living in a town
Filled with narrow minds
And hate

They used to laugh at me
The children called me names
I would ran and hide
Feelin' so ashamed
Just for being born
I was just a boy
Punished for a crime
That was not mine

Life ain't so easy
When you're a ghetto child (Oh, baby)
Life ain't so easy
When you're a ghetto child

No one tried to understand
Papa did the best a man could do

A child reality
Is paid for by his faults
Fancy fairy tales
Are born and sold by those
Who can well afford
Time to make believe
Childhood dreams can still come true
Uh, huh, huh, huh

So I've been wandering
Traveling all around
Guess it ain't my style
To live in just one town
Still I'll never know
Why a child is blamed
Ridiculed and shamed
We're all the same

Life ain't so easy
When you're a ghetto child (I'm a witness, baby)
Life ain't so easy
When you're a ghetto child (Yeah...)

Ooh...ooh...yeah...

Life ain't so easy
When you're a ghetto child (Oh, baby)
Life ain't so easy
When you're a ghetto child

Life ain't so easy (Yeah...hey...hey...)
When you're a ghetto child (Life can be rough)
Life ain't so easy (The going gets tough)
When you're a ghetto child (Yeah...but remember)

Life ain't so easy (Things gotta change)
When you're a ghetto child (Things gotta change, gotta change, yeah, yeah)
Life ain't so easy
When you're a ghetto child (Whoa...oh...oh...whoa...oh...oh...I'm a ghetto boy)

Life ain't so easy
When you're a ghetto child

ENT>MUSIC>SONGS>Child Of The Night
ENT>MUSIC>SONGS>Ghetto Child

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投稿者 吉岡正晴 : 03:27 AM | コメント (0)

September 29, 2006

"Guess Who I Saw Today" Is Nancy Wilson's Signature Song

[ ENT>MUSIC>LIVE>, ENT>MUSIC>SONG]

【「ゲス・フー・アイ・ソウ・トゥデイ」】 

起承転結。

2006年9月25日付け日記でシャンテ・ムーア&ケニー・ラティモアのライヴについて書いた。その中で、曲名がはっきりわからない曲のひとつとして「ゲス・フー・アイ・ソウ・トゥデイ(今日、私は誰を見かけたと思う?)」をセットリストに載せておいた。読者の方から、ナンシー・ウィルソンなどが歌っているジャズスタンダードでは、とご指摘いただいた。僕はこの曲を知らなかった。その通りだったので、この曲についてちょっと調べてみた。

September 25, 2006
Chante Moore & Kenny Lattimore: Moody's Mood For Lovers
http://blog.soulsearchin.com/archives/2006_09_25.html

この「ゲス・フー・・・」は、元々1952年ブロードウェイのミュージカル・レヴュー『ニュー・フェイセス』の中で使われた作品だった。『ニュー・フェイセス』ではアーサ・キットなどが出演。このレヴューは1954年に映画化もされる。そして、挿入歌のひとつ「ゲス・フー・・・」を書いたのはマレー・グランドとエリーゼ・ボイド。グランドは1919年8月27日ペンシルヴェニア州フィラデルフィア生まれ。エリーゼは不明。彼(マレー)はシンガー、ピアニストで弾き語りなどをしていた。1930年代のナイトクラブ・シーンで活躍していたという。彼らにとって、この「ゲス・フー・・・」は最大のヒットとなった。

この曲は1957年、ポップ・シンガー、イーディー・ゴーメ(同じくシンガー、スティーヴ・ローレンスと結婚した歌手)が録音するがヒットには至っていない。その後、1960年、ナンシー・ウィルソンがアルバム『サムシング・ワンダフル』で録音、さらに彼女は1965年、ライヴ作『ナンシー・ウィルソン・ショウ』でもレコーディング、徐々に知られるようになり、また、ナンシーの持ち歌、代表曲として有名になっていった。他にもカーメン・マクレイ、ジュリー・ロンドン、グラディー・テイトなど多数のカヴァーが生まれている。最近ではローラ・フィジーも録音している。

曲の内容は、夫が帰宅した後に妻が夫に語りかける会話で、今日の午後、街で誰を見かけたと思う? そのカップルは恋人のようで、私はその場からすぐに立ち去った。誰を見かけたと思う? 私は、あなたを見かけたのよ、という歌。ストーリーの起承転結のよく描けた傑作だ。こんなストーリーだ。

■ゲス・フー・アイ・ソウ・トゥデイ

Guess Who I Saw Today,
by Murray Grand (music) and Elisse Boyd (lyrics).

今日は仕事から帰るのがずいぶんと遅いわね。
電車に乗り遅れたの?
雨にでも降られてしまったの?
いいの、別に言い訳なんかしなくても
マティーニでも作りましょうか
本当のところ、あなたと一緒に飲みたいくらいなのよ
正直に言うとね、今日はちょっとした一日だったのよ

ねえ、今日、誰を見かけたと思う?
私、今日、何か新しい物でもないかと思って街に出かけた
一段落して、ちょっと何かつまもうと思った
いい店でもないかと思っていたら
車を止めた近くにとってもおしゃれなフレンチ・カフェがあった。それほど遠くなかった。

そこに入って行くと、ウエイターが薄暗い角の席を用意してくれた
目が暗闇に慣れてきたらそこにいた二人に私の目は釘付けになったの
バーに熱々の2人がいた
離れた席から見てもラヴラヴだった

ねえ、あなた、誰を見かけたと思う?
あんなショックは受けたことがなかったわ
私は忍び足でドアに向かった
カップルは横を通る私に気づかなかった
ねえ、あなた、今日誰を見かけたと思う?

私が見たのは、あなたなの!!

(訳詞 ソウル・サーチャー)

Guess Who I Saw Today, by Murray Grand (music) and Elisse Boyd (lyrics).

You're so late getting home from the office,
Did you miss your train?
Were you caught in the rain?
No, don't bother to explain.
Can I fix you a quick martini?
As a matter of fact I'll have one with you,
For to tell you the truth
I've had quite a day too!

Guess who I saw today, my dear!
I went in town to shop around for something new
And thought I'd stop and have a bite when I was through.
I looked around for someplace near
And it occurred to me where I had parked the car
I'd seen a most attractive French cafe and bar.
It really wasn't very far.

The waiter showed me to a dark, secluded corner
And when my eyes became accustomed to the gloom,
I saw two people at the bar
Who were so much in love
That even I could spot it clear across the room.

Guess who I saw today, my dear!
I've never been so shocked before;
I headed blindly for the door,
They didn't see me passing through.
Guess who I saw today! I saw you!

シャンテは、この歌をゆっくり歌い、最後のパンチライン(オチ)のところで、息をためて、I saw you と指を指しながら歌った。なかなかうまかった。

なお、ケニー&シャンテの次のアルバムにこの曲が収録されるかはまだわからない。次の作品は2枚組みとなる模様で、現在わかっているその収録曲リストにはこの曲名は入っていない。

(2006年9月24日日曜、丸の内コットンクラブ=シャンテ・ムーア&ケニー・ラティモア・ライヴ)

ENT>MUSIC>LIVE>Moore, Chante & Lattimore, Kenny
ENT>MUSIC>SONGS>Guess Who I Saw Today

投稿者 吉岡正晴 : 03:01 AM | コメント (0)

December 04, 2005

Brazilian Rhyme: Covered By Some Artists

[ ENT>MUSIC>SONG]

【「ブラジリアン・ライムス」をカヴァー】 

成長。

来年1月に来日するアース・ウインド&ファイアーの作品の中で、昔ひじょうに気に入った曲があった。アルバム『オール・ン・オール』に収録されていた「ブラジリアン・ライム」という小品だ。1分程度のもので、「パラパッパパパパ~」というメロディーが何度か繰り返されるだけのものだ。

一時期、自分が好きな曲ばかりを集めて作るカセットに必ず曲と曲の間とか、ど頭とかにこれをいれていたほどだ。で、この曲に目をつけたのは、ぼくだけではなかった。たとえば、テイク6。彼らが94年にだしたアルバム『ジョイン・ザ・バンド』で、これを「バディヤ(インタールード)」としてやはり1分程度のものを録音した。

また、今週来日していたベース奏者マーカス・ミラーの95年のアルバム『テイルズ』では、「ブラジリアン・ライム」のタイトルで、ヴォーカルにレイラ・ハザウェイを迎えてレコーディングしている。これは5分を越えるヴァージョン。大作だ。

もともと1分程度のものだったのが、5分の曲になるなどということは、これはなかなかたいしたもの。これを曲の成長というのかもしれない。

ENT>MUSIC>SONG


投稿者 吉岡正晴 : 04:37 AM | コメント (0)