March 16, 2009

Waxpoetics Japan#3 Out Now: Digging It To Death

[ MAGAZINES>]

【ワックスポエティックス誌第3号発売】

特化。

クラブ、DJ系、熱いレコード・コレクターズ向け、ワックスポエティックス誌第3号が2009年3月15日発売された。すでに有名CDショップ、レコード店、書店などでも発売中。写真も厳選されていてヴィジュアル的にもグッド。表紙はワッツタックスのバーケイズだ。

今回は目次をご紹介。

Earl Palmer / Norman Whitfield / Alton Ellis / Mulatu Astatke / Re:Generations / Q-Tips / Bill Withers / quasimode / Les McCann / Wattstax / Yuji Ohno / Clyde Stubblefield / MF Doom / Daniele Baldelli / Guillermo Scott Herren / Emi Tawata / King Tubby / 12x12 with Danny Krivit / Steph Pockets / Alf Alpha / How To Clean Dirty Records / On The Blackhand Side~Sidney Poitier / ヴァイナル駅伝(DJ Muro)

どれも重厚な記事で、ここまでマニアックなアーティストに特化した音楽雑誌というのは、日本では今はないと思う。ビル・ウィザースで写真も含めて13ページもの記事なんて、日本の雑誌ではありえない。ワッツタックスも10ページ。この記事はパブリック・エネミーのチャックD、『スタックス物語』を書いたロブ・ボウマン、スタックスのヘッド、アル・ベルらのインタヴューが読める。ジェームス・ブラウンのドラマー、クライド・スタブルフィールドはパート1で最後にシングル盤のレーベルの写真が並んでコレクターズ・マインドをそそる。

上記ダニエル・バルデッリは僕はまったく知らなかったがイタリアのディスコで活躍したDJでそのインタヴュー。これを読むと、イタリアでディスコが流行りだした1970年代の状況など、まるで日本のディスコ事情と同じようなもので、けっこう日本のほうが進んでいたのではないかと思わせられる。ターンテーブルにフエルトを敷いてレコードを滑らせるという方法など、たぶん、これを読むと日本のほうが早かったのでは。

毎号の定期コラム「12x12(トゥエルヴ・バイ・トゥエルヴ)」は、12枚のレコードを選者が選んで、それについてのうんちくや思い出を語るもの。今回はダニー・クリヴィット。トップにジェームス・ブラウンの「ゲット・オン・ザ・グッド・フット」の白盤(テスト盤)が選ばれ、その思い出が書かれている。いい話だ。ジェームス・ブラウン関連だとこういう話が無限にありそう。そういう話ばっかり集めても面白いなあ。たとえば「マイ・メモリーズ・アバウト・ジェームス・ブラウン」とかね。いいな、これ。どこかでやろう。(笑)

もうひとつ定期的なコラムで、レコード盤自体に関するもの。前号(2号)ではカット・アウト盤の話を、これでもかこれでもかと掘り下げていたが、今回のテーマは、「いかに汚いレコードを綺麗にするか」というもの。レコード・コレクターの永遠のテーマである。レコード洗浄液のレシピまで書かれている。(笑)

きっと次のテーマは、反ったレコードの直し方とか、傷がついたレコードの修復の仕方とかだろうなあ。

この内容、立ち読みには適していませんので、ぜひお買い求めの上じっくりお読みください。それから50歳以上の方は、老眼鏡をお手元に~。(とにかく字が小さい) なんでも特化することはよいことです。

■ワックスポエティックス・ジャパン・オフィシャル・ブログ
http://www.waxpoetics.jp/blog/

■同マイ・スペース
http://profile.myspace.com/waxpoeticsjapan

■ ワックスポエティックス・ジャパン(第3号)

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■ワックスポエティックス・ジャパン(第1号)

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■ ワックスポエティックス関連記事

February 12, 2009
Bill Withers & Ohno Yuji Will Be Featuring On Next Waxpoetics Vol.3
【ビル・ウィザース~大野雄二インタヴュー~ワックスポエティックス第3号】
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February 01, 2009
Ohno Yuji Talks To Waxpoetics Vol.3
【大野雄二さん、ワックスポエティックス3号のために語り倒す】
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投稿者 吉岡正晴 : 03:50 AM | コメント (0)

February 12, 2009

Bill Withers & Ohno Yuji Will Be Featuring On Next Waxpoetics Vol.3

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【ビル・ウィザース~大野雄二インタヴュー~ワックスポエティックス第3号】

A&R。

マーヴィン・ゲイの自伝『マーヴィン・ゲイ物語~引き裂かれたソウル』の翻訳作業が続く中、ワックスポエティックス第3号の原稿も佳境に。今回僕が手がけるのは、先日ここでも少し書いた大野雄二さんインタヴューと、ビル・ウィザースのロング・インタヴューの翻訳。大野さんのほうは、指定は当初5800字程度だったが、削って起こしてそれでも12000字くらい。結局、7000字の枠でまとめさせてもらうことになった。まあ、とにかく5時間半ですから、それでも4分の1くらいでしょうか。(笑) これぞまさに「エディット」(編集)だ。テープを起こすのも地獄、削るのも地獄だあ。(笑)エディットする人=エディターとは、うまいことを言ったもんです。

ビル・ウィザースは、以前、デイヴィッド・リッツが書いたビルのCDのライナーノーツを翻訳したことがあったが、実に朴訥(ぼくとつ)とした自然派の素晴らしい人物。その彼らしさがよく出たインタヴューだ。原文が5500ワードくらいあるので、15000字くらいになりそう。これは全文掲載できるはず。

読みどころは満載だが、彼のインタヴューの中で、CBS時代のA&Rマン(担当ディレクター)に2年間電話をし続けたが、無視されたという話がでてくる。A&Rというのは、アーティストとレパートリーの略。アーティストとそのアーティストが歌う楽曲を選んだり、管理したり、アーティスト周辺の仕事を全部やる、日本で言うところの担当ディレクターのことだ。しかし、詩人でヴォキャブラリー豊富なビル・ウィザースはこのA&Rとは、次のような単語の略だと、こう言い放った。

antagonistic & redundant。 antagonisticとは、対立のこと。redundantとは不要なもの、必要ないもの、転じて窓際族。うまいことを言う。そのディレクターは、どうやらビルにディスコ曲を歌わせ、ディスコ・ヒットを狙ったらしい。当然、ビルはそんなことは絶対に受け入れない。二人は決裂し、二年間、話もしなくなる。このA&Rマンは、心底、馬鹿ではなかろうか。(笑) そこでビルはすっかり音楽業界に嫌気が差し、しばらく一線から身を引くのだ。

立ち読みできないほどの文章量なので(笑)、ぜひ発売されたら入手してください。第3号には、ジェームス・ブラウンのドラマー、クライド・スタブルフィールドのインタヴューやシドニー・ポワチエの記事も掲載されます。ワックスポエティックス第3号は、3月15日発売予定。

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投稿者 吉岡正晴 : 04:28 AM | コメント (0)

November 03, 2008

Waxpoetics (Part 3) : Andre Torres, Editor-In-Chief for Waxpoetics, Talks (Part 2)

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【ワックスポエティックス誌アンドレ・トレス編集長語る~パート2】

(今では全世界に8万人の読者を持つ音楽誌「ワックスポエティックス」。その編集長であり、創設者であるアンドレ・トレスがその創刊の経緯を語る。アンドレ・トレス・インタヴュー。2001年、アンドレは雑誌創刊のイメージを現実のものとするため、動き始める。昨日の続き。)

■ 32歳の解雇~紙一重の運命

運命。

雑誌創刊の決意を固めた彼はソフトウェアを売るセールスマンの仕事を朝9時から5時までしながら、オフィースのコンピューターに向かって、インターネットでソウル、R&Bについて書いているライターを探し出し、彼らにかたっぱしからメールを送り始める。「これこれ、しかじか、こんな雑誌を作ろうと思ってるんだが、記事を書いてもらえないだろうか」と。何人かから色よい返事をもらうようになり、徐々にイメージが固まってきたが、昼間オフィースでそんなメールのやりとりばかりやっていることがある日上司にバレる。

「お前、毎日、何やってんだ。ちゃんと仕事をしろ。さもなければ、クビだぞ」 単調な仕事に嫌気がさしていたアンドレは「けっこう、クビでもいいよ」と言い放つ。結局、アンドレはその会社を解雇されてしまう。アンドレ・トレス32歳の夏だった。

彼の最後の出社日は2001年8月4日。そして、彼が毎朝9時までに入っていたオフィース・ビルが、ワールド・トレード・センターの「タワー1」、78階だったのだ!! 

それから1ヵ月後の9月11日火曜日、世界の運命が変わった。そして、アンドレの人生も変わった。「僕のオフィースは78階、その上階(93階~99階)がもろ突っ込まれたところだ。僕のデスクから振り向くと外が見えるウインドウだ。そこに(飛行機が)突っ込んで来たんだよ。仕事仲間が何人も亡くなった。もちろん紙一重で命拾いした者もいた。ある男は、ちょうど朝のコーヒーを飲みに44階に降りていた。ある男は、ほんの一服タバコを吸いにやはり階下に降りていた。タバコは健康によくない、命を短くする、と言われる。だけど、その彼はタバコを吸っていたおかげで、少なくとも命が倍以上延びたんだ。タバコが彼の命を救ったんだよ。あれからしばらくは、本当に何もできなかった。茫然自失だ」

一息置いて彼は言った。「もし、解雇されていなければ、僕は今頃、死んでるよ」まさにクビが首をつないだわけだ。

「あれから2週間は本当にゾンビみたいに死んでいた。ちょうどその頃、僕は必死に創刊号の準備を進めていた。だが、よく人から言われたものだ。『誰がいまさら、レコードのことを書いた雑誌なんか読むんだ』とね。(ワールド・トレード・センターの)中にいた連中をみんな知っていたんだからね。で、ふと悟った。僕は今、生きている。それには理由があるはずだ。僕は何をすべきか、なぜ生きているのか。あのビルにその日いなかった理由、今、生きている理由、それは今やりかけている仕事を完成させるためなんだ、とね。僕の人生で次のフェーズ(段階)に進んだ瞬間だった。そこで僕は何をおいてもこの雑誌を創刊させようと決心したんだ」

「9月から12月にかけて猛烈に仕事をした。資金をあちこちから集めた。自分の貯金、2人のパートナーの貯金、両親、友人からの借金、クレジットカードでのローン、何でも現金を集め、印刷所と話をつけ、本の配給システムを作った。たぶん2万5000ドル以上は最初の資金としてあったと思う。初版は5000部作った。売れるかどうかはわからない。売れたとしても、書店からの回収は3ヵ月後、遅いところは半年後だ。だから第2号はそれを全部回収してから作ったから、(発行までに)随分と間隔があいたんだ。実際、創刊号を出す時には、どれほどの需要があるのか、音楽、それもレコードについて、人々はどれくらい知りたいのか、読みたいのか、まったくわからなかったからね。でも、出たら結局すぐに反応はあった」

横でこの話を聴いていたDJコンが、「その話は(ワックスポエティックスに)書いたのか?」と尋ねた。「いや、創刊号には、とてもじゃないが、気持ちを整理できずに書けなかった。だが、第2号(半年後)のコラムでちょっと書いたよ」

必然。

「Everything happens for reasons(すべて物事は必然で起こる)をまさに地で行くような話ですね」と僕が言うと、トレスが笑いながら答えた。「母親がいつも、その言葉を僕に言い聞かせていたんだ。まったく同じ言葉をね。ほんと、何かというとその言葉を言っていた。それまでは、何を言ってるんだ、くらいにしか思わず、全然信じることもなかったけど、あの事件以来、母が言った意味が本当の意味で理解できたよ(笑)」

雑誌の編集などまったくしたことがなかったトレスだが、イメージ、ヴィジョンは確固たるものを持っていた。「いわゆるジーン(ファンジン)と呼ばれるモノクロのいかにもマニア向けのミニコミは作りたくなかった。そういうのは本当に一部の人しか読まない。僕はもっと普通の人に読んでほしい。僕は一時期アートスクールに行っていた。だから、写真はこういう写真、レイアウトはこう、そうしたヴィジュアルのアイデアをしっかりもっていた」

「つまらない雑誌だと読み終わったら、みんな捨ててしまう。だが僕はそんな捨てられてしまうような雑誌は作りたくない。しっかりと読者が保存しておきたいと思うものを作りたいんだ」
 「それが何冊も集まれば、百科事典みたいになるような雑誌?」 
「その通りだ。しかも、記事もある程度アカデミックな内容で、ちゃんとプレゼンテーションされている記事、そうしたものを載せたい。もちろん自分が(雑誌に)載せたいアーティスト、載せたいレコード、そうしたものもはっきりとしている」

こうして、2001年12月11日、ファースト・イシュー(第一号)が世に出た。911からちょうど3ヶ月のことだった。「創刊パーティーをその日にやったから、よく覚えてるんだよ(笑)」 雑誌が出て、しばらくは書店もこの雑誌の取り扱いに困っていたらしい。トレスが言うのは、「ワックスポエティックス」というタイトルゆえに「詩の雑誌」のコーナーに置かれていたこともあったという。ワックスポエティックスは、直訳すると、「レコードの詩論」、つまりレコードで語られている詩を論じる、という意味だ。そこで、彼らは「これは音楽雑誌だから、音楽雑誌のコーナーに置いてくれ」とアピールしなければならなかった。

横からDJコンが訊いてきた。「最初の4号くらいまで、今いくらくらいするか知ってるかい?」 「さあ、高いとは聞いたけど」 「何百ドルってするんだよ」

2号が出るまでには、創刊号の資金を回収しなければならなかったので、半年以上かかった。それからは、しばらくは季刊(年に4回発行)で出した、そして、ビジネスが順調になって現在のスタイル、隔月刊になった。

つい最近、入手困難となっている最初の5号までの記事から秀逸記事を抜粋した『アンソロジーVOL.1』を発行した。その第2弾も予定されている。

「ワックスポエティックス」誌は好評を得て、順調に部数を伸ばし、現在31号まで刊行、毎号8万部を発行するまでに至っている。同誌のオフィースは、今は古いレコードの再発なども行うようになり、ビジネスの幅を広げている。そして、2008年10月27日、ニューヨークから6000マイル離れた極東の地で日本版が発行された。

雑誌の創刊を思い立った。仕事場で、仕事そっちのけでその準備をしていたらそれがばれて会社をクビになった。だがそのクビになったおかげで命拾いした。雑誌「ワックスポエティックス」創刊は911のその瞬間、運命付けられたのだ。もし上司が心優しい上司で彼をクビにしなければ、トレスは911の犠牲になり、この雑誌は誕生しなかったかもしれない。

Everything happens for reasons. すべては必然の元に…。

■雑誌・ワックスポエティックス・オフィシャル

http://www.waxpoetics.jp/日本版創刊号、発売中

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投稿者 吉岡正晴 : 01:22 AM | コメント (0)

November 02, 2008

Waxpoetics (Part 2) : Andre Torres, Editor-In-Chief for Waxpoetics, Talks (Part 1)

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【ワックスポエティックス誌アンドレ・トレス編集長語る~パート1】

2001年12月ニューヨークで創刊された音楽誌「ワックスポエティックス」の日本版が2008年10月27日発売された。「ワックスポエティックス」誌はヒップホップ系DJらが使うレコードの元ネタにあたるアーティストらのレコードや、そのアーティスト自身への取材記事などで編集されたマニアックな音楽誌。広く浅くではなく、アーティストを絞り込み、深く入り込んだ記事に定評がある。日本版発売記念パーティーが代官山ユニットで31日に行われ、そこに編集長アンドレ・トレスらが参加。そのアンドレから短い時間だったが30分ほど話を聴いた。

■ レコード盤に囲まれて

レコード収集。

アンドレ・トレスは1969年4月26日ニューヨーク生まれ。現在39歳。実年齢より若く見える。父はブロンクスでジャズ、ラテン、ソウルなどを扱うレコード店を経営していた。幼少の頃、一家でフロリダへ移住。大学を卒業するまで、フロリダにいた。DJなどに興味を持ったのがこの頃だ。

代官山ユニットのカフェでウィルキンソン・ジンジャーエールのドライを飲みながら、トレスが早口で語る。「僕の父が以前レコード店をやっていたんで身近にレコードはいつもたくさんあった。子供のころ、ニューヨークからフロリダに引っ越すとき、全部置いていったんだが、(フロリダに)引越してきたら祖父がまたたくさんのレコードを持っていた。だから僕はいつもレコードに囲まれて生きてきたってことになる。(笑) 1990年代初めに(フロリダの)大学に入るまでは、それほどレコード収集に執着はしてなかった。入ってからかな、いろいろと興味を持ち始めたのは。大学の(校内放送の)テレビ局でヒップホップのビデオ・ショーをやっていたこともある。ニューヨークのヒップホップの歴史的なもの、『Bボーイ』『ヒップホップ』『グラフィティー』『ラップ』『ブレイクダンス』などをフロリダの子供たちに紹介していた。今考えてみると、その頃から僕は音楽の歴史的なものに興味があったみたいだね」

横には、今回DJのためにニューヨークからやってきたDJコンとDJアミールがいる。彼らご一行は木曜に来日、金曜にイヴェントに出演しDJをして朝までクラブにいて、土曜日昼帰る。2泊4日の強行軍だ。

そのころDJパーティーなどでレコードを回すようになったり、ブレイク・ビーツを作ったり、そのレコードを作ったりし始めるようになった。ただ毎週どこかでやるレギュラーDJというわけではなかった。頼まれたらやるという感じだ。

そして1995年、ニューヨークに戻ってきた。アンドレ26歳。アンドレが言う。「ニューヨークはヒップホップの歴史そのものみたいだろう。レコード・コレクターもたくさんいる。そして、みんな知識もある。今ではインターネットでいろいろ知ることができるが、その頃はそうではなかった。今はインターネットのおかげで、世界中ありとあらゆるところに住んでいる連中が、同じことに興味を持ったり、情報を共有できる。おそらく1995年や1990年にこの雑誌を作ろうとしたら、きっと、時期尚早だったと思う。1995年96年のころは、ニューヨークでヒップホップが変化してきた時期だ。ヒップホップがおそろしくポピュラーなものになってきていた。パフ・ダディー…。僕が知っていた古いヒップホップはもはや、なくなっていたんだ。そこで2000年になって、そうした変化のあとを受けて、今こそ雑誌を始めるときだと思ったんだ」

それより少し前、1998年、彼はコンピューターのソフトウェア会社に就職、ソフトウェアを販売するセールスマンとなった。仕事は次第に単調になり、ちょっと退屈になり始めていた。2000年頃になると、趣味のDJなどのほうがおもしろくなってくる。

ドキュメンタリー。

「2000年ごろだった。自分が好きなレコード、興味があるレコード、アーティストについてのドキュメンタリー映画でも作ろうと思いついたんだ。レコードを掘る(diggin=レコード箱を漁ること。古レコード屋などで昔の珍しいレコードなどを漁ること)連中とその周辺のカルチャーにもスポットを当てたドキュメンタリーだ。そこで、いろいろ調べていくうちに、自分が興味を持っているアーティストに関する書物や資料があまりないことに気づいた。それこそ、バーンズ&ノーブル(書店)に行っても、ローリング・ストーンズやビートルズに関する本はたくさんあるのに、ジェームス・ブラウンやスライ・ストーン、そのほかのR&Bシンガーに関する本はほとんどない。だから、僕はレコードのライナーノーツを読むくらいしか(情報入手の)方法がなかった。今言ったメインのアーティスト(の単行本)はあることはあるが、マイナーなアーティストについてはほとんど紙に印刷された資料はないんだ。そこで、そういうアーティストについていろいろな情報が書かれている雑誌があればいいのにと思うようになったんだ」

「レコードを収集し始めていた連中にとってロック、ディスコ、ソウルの初期の作品は、ヒップホップのファンデーション(基本、基礎)となったものだ。それから、サンプリングの手法がでてきた。昔の曲のリサイクルの始まりだ。そこで、僕たちはそうしたアーティスト、サンプリングされるオリジナルのアーティストにフォーカスして記事を作りたいと考えた。僕たちはソウル、ファンク、ジャズの古いレコードをヒップホップのレコードを通じて知ることになったんだ。だからのその元のアーティストについての記事を書くということだ」

「僕もDJをするとき、R&Bや古い曲をかけていた。新しいヒップホップの曲で使われていたオリジナル曲をかけると、みんなはよく知っているフレーズの一部だけでなく、全部を聴ける。すると子供たちが興味を持つ。そこでオリジナルも聴くといいよと教えることができるわけだ」

一体彼はどれくらいのレコードを持っているのだろうか。「ある時期は買って買って買いまくるっていう時期があって、5000枚くらいにはなっていたと思う。だがよく使うレコード、そうでないレコードと、2枚あるものは処分したりして、絞り込んで、最近は3000枚くらいかな。彼ら(コン&アミール)ほどじゃないよ。彼らはヘヴィーだよ(レコード中毒が重症だ、の意味)(笑)」

音楽、特にヒップホップに熱中するようになった彼は、その元ネタの音楽にも興味を持つようになる。ジェームス・ブラウン、ハービー・ハンコック、クール&ザ・ギャング、ロイ・エアーズ、ダニー・ハサウェイ…。そこで、自身で雑誌を作ることを真剣に、現実的に考え始める。2001年にはいってのことだ。

(この項続く)

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投稿者 吉岡正晴 : 02:46 AM | コメント (0)

November 01, 2008

Magazine "Waxpoetics" Japanese Version Just Released (Part 1)

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【音楽雑誌・ワックスポエティックス誌日本版登場】

マニア。

アメリカ・ニューヨークで発刊された音楽雑誌『ワックスポエティックス』の翻訳・日本版が2008年10月27日発売され、その創刊パーティーが10月31日代官山ユニットでアメリカ版編集長アンドレ・トレス氏らを向かえ行われた。

トレスは、元々ニューヨーク生まれで父がラテン、ジャズなどのレコードを集めていた。本人はヒップホップなどに傾注したが、そうしたヒップホップがサンプリングなどで使う元の音楽に興味を持ち始め、それらを扱う雑誌を作ろうと思い立ち、2001年冬、『ワックスポエティックス』誌を創刊した。現在は隔月刊で2008年8月、第30号がリリースされた。

日本版も隔月(偶数月)発売でB5変形版、約130ページ。定価980円(税込み)、編集発行は株式会社グラントスタイル(GruntStyle)、発売元はサンクチュアリ出版。日本版発行数は4万部の予定。全国主要CDショップ、レコード店、書店などで発売。

当初は新しい記事だけでなく、過去7年分のアーカイブ記事から順次翻訳、編集していく。基本は英文の翻訳で日本編集のページも若干作る予定。第一号ではハービー・ハンコック、ダニー・ハサウェイ、ロイ・エヤーズ、ボビー・ハンフリーなどの記事を紹介している。レコード・マニア向けらしく、ジャケット写真、レーベルの写真などもふんだんに使われる。

10月31日に行われた出版記念パーティーでは、ニューヨークから彼らの仲間でもあるDJのコン&アミール、日本からDJムロらが参加しイヴェントを盛り上げた。

雑誌 ワックスポエティックス 

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■ ワックスポエティックス・オフィシャル・ウェッブ

http://www.waxpoetics.jp/

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意気。

この創刊号のハービー、ロイ、ダニーなどの記事の翻訳をした。今年6月ごろ、日本版発行に精力的に動いていた編集長の舟津さんから連絡があり、翻訳を頼まれた。この雑誌についてはほとんど知らなかったが、見てみるととてもマニアックでおもしろいと思ったことと、船津さんの意気に感じて引き受けた。

元々DJをやっていた仲間が集まって作り始めた雑誌ということで、普通の音楽誌ではとりあげないようなアーティストの記事なども多数ある。決して一般受けすることはないだろうが、こういう雑誌がアメリカで出て、その日本版が出るということで応援していきたい。

僕はこの種のアメリカ雑誌などの日本版翻訳については、いかに日本人向けにカスタマイズできるかが鍵だと思っている。残念ながら、まだ創刊号ではそうしたことはできていないが、徐々に出来て発行部数が増えることを祈っている。

創刊号ではハービー・ハンコックの記事がいわゆる第一特集記事にあたるカヴァー・ストーリー。18ページにわたる。しかも、現在68歳のハービーがマイルス学校を卒業、『カメレオン』を出すまでのワーナー時代のほんの3年にだけフォーカスした記事だ。こういうのは、まず日本の雑誌では余裕もなければ、編集マインドもないので、できない。かなり読み応えがある。一方、ダニー・ハサウェイの記事もおもしろいといえばおもしろいのだが、書き手のフォーカスが散漫になっていてちょっと残念。といっても、ダニーについての記事が読めるだけでもよしとすべきなのだが。こういうしっかりした記事を翻訳していると、自分が編集者になったような気分で、ここをもう少しつっこんで書いてくれ、とか、ここは無駄、とか思うことが多々でてきて、おもしろい感覚になる。ダニーの記事に関して言えば、ダニーにインタヴューができないので、書き手にとっては気の毒なのだが…。やはり時間をかけて調査し、インタヴューを重ねて書くと立派なものができる。うらやましいと思った。

自分は翻訳者というより、音楽についてのライター、書き手、ジャーナリストなので、こうやって日々雑文を書き散らしているが、ときに俯瞰して、客観的に文章を見ることが改めて大事だなと感じた。

ぜひ、書店、CDショップなどで手にとってごらんください。

そのパーティーで編集長のアンドレ・トレスと会ってほんの少しだったが話ができた。実におもしろいストーリーだったので、明日以降ご紹介する。彼はなぜ、この『ワックスポエティックス』の創刊を思い立ったのか。雑誌創刊へ向けて動き出した彼に訪れる劇的な運命のいたずらとは。Everything happens for reasons(すべては必然で起こる~すべて起こることには理由がある、そうなるべくして、なる)。彼の人生を変えたターニング・ポイントとは。

明日をお楽しみに。

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投稿者 吉岡正晴 : 04:41 AM | コメント (0)